「福生病院」院長が語る“人工透析と尊厳死” 治療再開の意思に病院は応じず

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“確信犯的”忌避?

 次に、彼女は44歳とまだ若く、

「透析を受け続ければ、まだ数年は生きることができたと見られています。日本透析医学会は、透析を中止する際の基準として〈患者の全身状態が極めて不良〉などを挙げている。この基準に福生事件は該当せず、病院や医師は自殺を誘導、幇助(ほうじょ)したのではないかとの批判も起きています」(同)

 さらには、この女性患者に限らず、

「これまで福生病院では、そもそもはじめから透析を選択しなかった非導入、あるいは透析を中止したために約20人の患者が亡くなっていることが分かっています。つまり今回の女性の件は『事故』などではなく、病院側が患者に対して『確信犯的』に透析治療を忌避するように仕向けていたのではないか。そんな疑いの目も向けられているわけです」(病院関係者)

 当事者である女性患者の夫は、毎日新聞に寄せた手記のなかで、病院に対して「怒りの気持ちはない」としつつも、「医者なのだから、一人一人の命を預かっているのだから、患者に寄り添って生かしてほしい」との真情を吐露。さまざまな疑念が浮上している福生病院には、目下、東京都および学会が検査・調査に入り、真相究明が進められる事態となっている。

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