米国にケンカ売る文在寅、北朝鮮とは運命共同体で韓国が突き進む“地獄の一丁目”

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韓国がすがれるのは北の核

 韓国は米国との同盟を――つまり“核の傘”を、失う可能性が高まっている。その際、韓国は「誰の核に頼るのか」を決めねばならない。中国かロシアか、それとも自主開発か。最も手っ取り早いのが、北朝鮮の核を頼る手だ。

 北朝鮮から核弾頭を全て除去する完全な非核化は難しい。仮にそれが実現しても、核弾頭の開発に携わった人材は残り、核の潜在保有国ではあり続ける。

 その事実に直面する韓国人のうち、かなりの人々が「北朝鮮と和解すれば、その核は自分たちに向くどころか民族の核として活用できる」と信じるであろう。

 掲載図「朝鮮半島は誰の核の傘に入るのか」で言えば「ケースⅣ」である。韓国で「民族の核」に反対するのは、極めつけの保守だけとなるだろう。

 朝鮮日報の楊相勲・主筆は「南北の政権が野合し、運命共同体になった」と書いた 。だが、現実はもっと厳しいものだろう。南北の政権だけではなく国同士が――韓国と北朝鮮という2つの国が、運命共同体になっているのだ。

 だからこそ、世界からどんなに冷笑されようと、国内からどんなに批判が高まろうと、文在寅政権は「勝算あり!」とばかりに、ますます北とのスクラムを固く組むのである。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班

2019年3月20日掲載

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