米国にケンカ売る文在寅、北朝鮮とは運命共同体で韓国が突き進む“地獄の一丁目”

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同工異曲の「妄想作戦」

 では韓国は、北朝鮮との連帯をやめ、米国との同盟を堅持する路線に戻るのだろうか。確かに保守系紙は、そうすべきだと主張する。だが、普通の人々がこぞって「北朝鮮よりも米国」を選択するかは分からない。「米朝の仲介役として米国からも大事にされている韓国」といった幻想を、保守も含め多くの韓国人が信じ込んでいるからだ。

 トランプ政権は、情報機関同士のパイプを通じて、北朝鮮と首脳会談の開催にこぎつけた。その際、疎外感から韓国が駄々をこねないよう、韓国の仲介もあって会談が実現したかのように演出した。

 文在寅政権はこれを利用し「朝鮮半島では韓国が主導権を握っている」と大々的に宣伝した。すると「自分たちは疎外されている」と不満を溜めていた韓国人のほとんどが、「我々が運転席に座っている」と信じ込んだ。

 朴槿恵(パク・クネ)政権は、米中等距離外交を展開 、「2大国を操り、それを背景に日本と北朝鮮を叩く偉大な韓国」との妄想を国民に植え付けた (拙著『米韓同盟消滅』の「あとがき――中二病は治るのか?」参照 )。

 前政権と同様に、文在寅政権も「妄想作戦」に出たのだ。ちなみに今回の妄想は、「米国と一定の距離を置いてこそ、北朝鮮を会談に引き出すなど仲介が可能になる」との含意がある。

 もしここで米国の側に完全に戻れば、韓国は仲介者の資格を失うことになる。運転席の座から降りたくない韓国人が、「米国側に戻ろう」とは言いにくい仕組みとなっている。

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