樹木希林さんが語った「人間・内田裕也」

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FAXで連絡

〈会見で、樹木は離婚しない理由について聞かれ、「純なものが一かけら見えるから。娘はお母さんは他人だけど、私は血が繋がっていると言う。親の責任を果たそうということ」と説明した。

 芸能レポーターの石川敏男氏はこう解説する。

「希林さんは、『99がダメでも1が良ければ、1に純なところがあれば好き』という態度なんです。それは結婚してから一貫して変わっていません。内田も自分に惚れているというのは良く分かっていますから、自分から別れないのです」

 内田の友人で、作家の真樹日佐夫氏の話。

「裕也クンと2人で飲んだ時のこと。互いのテリトリーっていうのかな、この店ではお前に払わすわけにいかないっていうところがあるじゃない。そこは、彼のテリトリーだったんだけど、希林ちゃんに電話して、お金を彼女や彼女のマネージャーがわざわざ持ってきてくれたこともあった。愛情のかけらもなくなったら、ただの女スポンサーだからね。それだと彼女のプライドが許さない。裕也クンなりに、希林ちゃんを愛してる。彼女には、それが分かるから許してるんじゃないのかな」〉

 内田さんとは、月1回は会っています。長く一緒にいるのは駄目ですよ。月に1回が限度。マンションには行かず、外食をする程度です。彼は携帯を持ってますが、私は持ち歩きません。ですから、連絡はFAXで取っています。あれは、紙が届くから年寄り同士のやり取りには確実なのよ。

 それでも、日付を間違ったりしますからね。内田さんが私が留守をしている日に勝手にFAXを送ってきて、勝手に日にちを決めて会いに来たら、私の自宅の扉が閉まっていた。そりゃそうよね、私はFAXが来たことも知らないで仕事に出ているんだから。それなのに家の前で「閉まってる!」と大声で騒いでいたこともありました。

 そうはいっても、内田さんは人間としては面白いですよ。月に1度会う時は、「介護保険料はこうでしたよ」「選挙のはがきが来ましたよ」とか、報告をしています。最近は、毎年ハワイに旅行に行ってます。向こうで待ち合わせして。部屋は別々に予約しますが、やっぱり私も危ないものをもっているので、たまに会うのが面白いんですよ。向こうからも「京都の祇園祭が良さそうだ」と言われると、2人で行ったりね。もちろん、費用は全部私が持ちますけど。

 内田さんは、タバコは前に止めた。後は、長いこと警察に留まっていれば、刑事さんも言ってましたが、「体調がよくなる」そうです。粗食で酒も出ないでしょうしね。本当は、(逮捕されて)動揺しなきゃいけないんでしょうが、何も変わりはないです。

 次に会ったら、そうね、まずは「ご苦労様でした」って笑っちゃうと思いますね。「いやぁ、大変だったんだ」と言われてもプッと吹いちゃう。でも、それは悪いから後ろを向いてね。で、その後、内田さんの方を向いて「大変でしたね」とだけ言おうと思います。

週刊新潮 2011年5月26日号初出/2019年3月19日掲載

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