「ヤマト」「レオパレス」不祥事で引っ越し難民大量発生中

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平均以下の年収

 超が付くほどの繁忙期を前にYHCが“退場”した一方、賃貸アパート大手のレオパレス21も難民大量発生の原因を作ってしまった。

「レオパレス21の物件で天井の耐火性能に施工不良が発覚し、建築基準法違反の疑いがあるとわかった。結果、退去の必要がある入居者は最大1万4千人と判明しました」(先のアナリスト)

 レオパレス21は危険性の高いアパートに住む7782人に対して“3月末までの退去”を通知したが、

「引っ越し費用はすべてレオパレス21が負担します。ところが、引っ越し業者が見つからず、入居者のほとんどが退去しようにもできない状況なのです」(同)

 また、大手運送会社幹部はドライバー不足も“引っ越し難民”を生み出す要因だと指摘する。

「ネット通販の影響で運送個数は増加しています。が、運送会社は6万2600社前後、ドライバーも約80万人と、ここ5年は横ばいの数字で変わらず、需要増に追いついていません。ドライバーが増えない理由は低賃金。大型免許保持者の平均年収が454万円で、中小型は415万円。サラリーマンの平均年収491万円を下回っていますからね」

 トラック協会によると、全産業平均の労働時間が年1781時間なのに対して、大型免許保持のドライバーは2600時間を超えている。全日本トラック協会広報室によれば、

「運送業界は高齢化に直面しています。ドライバーの約70%が40代以上で、5年前から20代以下の比率は1割を切っています。荷主の立場が強くなり、運送費の値下げ競争が起きたことでドライバーの給与が引き下げられたのです」

“引っ越し難民”たちは、寮などに住み急場を凌ぐケースもあるが、ドライバーの待遇を考えればあまり文句も言えない?

週刊新潮 2019年3月7日号掲載

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