米バスケ有望選手を襲ったナイキシューズ“ぱっくり事件” 犯人はメイド・イン・ベトナム

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3試合連続で同じ靴

 報道によれば、ウィリアムソン選手が履いていたのは、「PG2.5」というモデルだったとされる。試みに日本のナイキ公式サイトを覗けば、ウィリアムソン着用の“デューク大カラー”の色違いが売られていて、生産国は「ベトナム」となっている。お値段1万4千円から“セール価格”の8千円台まで4種類だ。将来有望のスターが履くにはちょっとお安い気がするけれど、

「プロならまだしも、ウィリアムソン選手は学生選手ですからね。靴が特注であったとも報じる媒体はなく、むしろスポーツメディア『247 Sports』は“なぜ110ドルで売られている『PG2.5』を?”といった論調の記事を掲載してもいます。ウィリアムソン選手は、350ドルの『Adapt BB』や130ドルの『カイリー5』など10種類のナイキ製シューズを試し、『PG2.5』を選んだなんて説も紹介されています」

 ナイキのバスケットシューズは、主にベトナムと中国、インドネシアなどで生産されている。ご本人が良しと思って決めた靴なのだから安い靴でもいいじゃないか――という声もあるだろうが、問題はその履き方、あるいは履かせ方にもあったようだ。

「“ウィリアムソン選手の体格を考えれば、『PG2.5』ではなくて『LeBron』のほうが相応しかった”なんて指摘もありますが、それはさておき、気になるのが“3試合連続で同じ靴で出場していた”という点です。なんでもプロ選手の場合は、試合ごと、あるいは長くても1週間ごとには靴を新調するというのです。ロックバンドのドラムがライブごとにドラムヘッド(皮)を張り替える、あるいはギターの弦を交換するイメージでしょうか」

 おニューのバッシュはチームメイトが踏みつけて馴染ませる――そんなのは「スラムダンク」の世界だけのお話という事だろうか。もっとも、学生選手なので、プロほどシビアに考えていたわけではないかもしれないが。

「そもそも体格に合っていない靴を、3試合+練習中にも履いていたとしたら、あのような壊れ方をしていてもおかしくない、という指摘はありますね。ウィリアムソン選手本人の責任というよりは、コーチや監督など周りの大人たちが、シューズのアドバイスをしてあげることはできたのでは?という論調です」

 もしかしたら、オバマ元大統領までも観戦に来る晴れ舞台だからこそ慣れ親しんだ靴で……と考えたのだろうか。

ナイキの広告に起用!?

 気になるのが今後の展開である。選手生命に支障がないことは先に紹介したが、訴訟大国アメリカでの事故である。さぞかしナイキは訴えられ、莫大な賠償金を払うのでは、と思いきや、これを逆手にとるプランも浮上しているとか。なんとウィリアムソン選手がNBA入りした暁には、ナイキは80ミリオンドル(およそ88億円)で契約するというのだ。スポーツライターのダン・ル・バタード氏のこうした見立てが、ただいま界隈で拡散している。

 契約選手ともなれば、当然、ウィリアムソン選手がナイキの広告に登場することになる。同社の広告といえば、人種差別への抗議で国歌斉唱を拒否したNFL選手を起用し、議論を呼んだことが記憶に新しい。その他にも“とんがった”演出に定評があるから、いかにもありそうな話だ。

「それに、『エア・ジョーダン』に代表されるような選手の名前を冠したモデルがありますからね。将来的に『ザイオン・ウィリアムソン モデル』が発売されることは間違いないでしょう。ちなみに『PG2.5』もオクラホマ・シティ・サンダー所属のポール・ジョージ選手のモデルです。デザインにも関わっている本人は、今回の事故に『原因を究明する』とコメントしています」

 むしろ、騒動によってナイキは良い宣伝になった、と見るムキもある。会社も選手も、靴が壊れて七転び、八起き?

週刊新潮WEB取材班

2019年2月28日掲載

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