ネットには向いてない鳥越俊太郎さん(中川淳一郎)

国内 社会 週刊新潮 2019年2月21日号掲載

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 ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が79歳になる3月を前にして、ニコニコ動画のチャンネルを開設することをツイッターで発表しました。これを知った時、「鳥越さん、やめて~!」と思いました。

 この告知後、鳥越氏は「そこで、皆さんが普段感じている世の中の疑問や私に聞いてみたいこと、議論してみたいことなどを募りたいと思います」とツイートしました。すると、このツイートに鳥越氏への批判と揶揄が殺到したのです……。

 多かったのは、2016年の都知事選の時に週刊文春に報じられたセクハラ疑惑や、最近問題となった「人権派」フォトジャーナリスト・広河隆一氏による女性への人権侵害に関するものでした。この原稿を書いている段階で660件のコメントがつき、大多数がネガティブな意見です。

 元々、鳥越氏はネットには向いていない方です。毎日新聞を経て、「まっ、素敵なロマンスグレーのおじさま」的に、テレビで人気のジャーナリストになりました。「桶川ストーカー殺人事件」を同氏が追及した、みたいな話にはなっているものの、実際はジャーナリストの清水潔氏の功績じゃないの?というツッコミはさておき、ここまでは実に華麗なるキャリアでした。しかし、06年、韓国からやってきた、「市民」が記事を書くニュースサイト「オーマイニュース」の初代編集長就任時から風向きが変わる。当時別サイトの編集者だった私は、強力なライバルが来た、と数日間は恐れました。しかし、すぐに与し易い相手とわかります。何しろネットではウケが悪いのに政権批判的な原稿を載せれば良いと考えていた節がある。

 同氏は創刊前に「2ちゃんねるはゴミ溜め」と発言し、炎上した経緯があったものの「異論、反論ドンドン書いて下さい! そんな活気のあるメディアにしようではありませんか‼」と同サイトの創刊時、高らかに宣言します。

 サイトの運営が始まってからも、鳥越氏は記事へのコメントやネット民に呆れるような姿勢を見せ、当初の宣言はどこかへ去ってしまった。体調不良なども理由に編集長職はすぐに辞めるのですが、この段階で同氏はネットに「向いていない人」という評価が定着しました。

 都知事選惨敗後は、ウェブメディア「ハフポスト」の取材にこう答えています。

「あなたたち(ハフポスト日本版)には悪いんだけれど、ネットにそんなに信頼を置いていない。しょせん裏社会だと思っている。メールは見ますけれど、いろんなネットは見ません」

「僕はペンの力なんか全然信用していません」

 この時もネットが好きな人から総スカンを食らうばかりか、支援者からも失望の声が出ました。

 鳥越氏は、これらの発言で完全に「ネット向き」ではないことがバレています。それなのになぜ、冒頭のように意見を募ったのか。このツイートは1月30日に投稿されたものですが、以後5日間一切の更新がありません。スタッフはなぜコメント欄の荒れっぷりを予想できなかったのか……。私が同氏の側近だったらこんな企画はやらせません。なぜならもはや同氏へのネットでの逆風は変えられないからです。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。