航空券高騰、病院混乱… 史上初「10連休」の落とし穴

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新元号最初の子ども

 いざ安穏と家で過ごしていても、不意に我が身を病が襲うかもしれない。そんな時、最寄りの病院がすべて閉まっていたら、休日も対応する医療機関に患者が殺到し不都合が生じないか。

 国立病院機構熊本医療センター・救急科医長の櫻井聖大(としひろ)氏に訊くと、

「もともと救命救急は365日24時間体制なので、10連休も普段通り変わりありません。地域の病院が軒並み休みなら、私共のような中核病院に患者さんが押し寄せてくることも覚悟しています。心配なのは手術の問題。10日間、丸々休めば、手術が必要な患者さんの日程を、連休前後に振り分けるなど調整が必要になってくるかもしれません。ただでさえ手術件数が増加して、普段でも手術室は満杯の状況ですからね。10日遅れようが生死にかかわらない患者さんでも、長く待たされるとなったら、心穏やかではないでしょう」

 混乱に備えて対応を検討していると言うのは、東京都災害拠点病院の江東病院副院長・田宮栄治氏だ。

「まだ決定ではありませんが、10連休中2日間は平常通り業務する方向で調整しています。入院患者を抱える大きな病院なら、薬剤師が常駐していますから、休みに薬が必要になっても院内の薬局で処方できます」

 他方、御代替わりならではの懸念を口にするのは、東京・赤坂にある山王病院副院長の奥仲哲弥氏だ。

「産婦人科の部長が、5月1日に合わせ出産を希望する母親がたくさん現れるのではと危惧していました。4月30日に生まれると平成最後の子になりますが、翌日なら新元号に変って最初の子どもになれる。今は人為的に出産日を決めることができる計画分娩も、一般的になってきていますからね。せっかくだからと、5月1日を希望日にする妊婦さんが増えるのではないか。それが悩みのタネになっています」

 御代替わりという新時代の幕開けまで、あと100日あまり。果たしてその時、日本はどんな産声を上げるのだろうか。

週刊新潮 2019年1月17日号掲載

特集「『御代替わり』7つの謎」より

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