天皇は「接待のプロ」だった GHQを味方につけた皇室の「鴨場接待」

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 休みなし、定年なし、行動の自由なし。天皇は、日本でいちばん過酷な職業だ。そもそも職業選択の自由すらないのだから。

 天皇(と皇族)の仕事で最も多いのは「人に会うこと」だ。一般参賀や園遊会はほんの一例。宮中晩餐会やお茶、ランチなどの席をもうけ、1年を通じて様々な人をもてなしている。つまり、天皇は「接待のプロ」なのだ。

 それらの中で最も大規模なのが、「鴨場(かもば)接待」である。鴨場とは、越冬のために飛来する鴨を捕獲するための猟場のこと。宮内庁の鴨場は千葉県市川市(新浜(にいはま)鴨場)と埼玉県越谷(こしがや)市(埼玉鴨場)にあり、鴨の飛来する11月半ばから2月まで、天皇の思し召し(意向)という形で各国の要人を招いて伝統的な鴨猟を体験してもらう。

 猟といっても、使うのは網。よく訓練したアヒルで鴨をおびき寄せ、突然目の前に現れた人間に驚いて飛び立つところを、子供がトンボを捕まえるように網を左右に振り回して捕獲するのだ。お互いの網がからみ合って混乱することもあるが、それもまた一興。

 先日、秋篠宮家の眞子さまが案内役を務めたのは千葉県の新浜鴨場。ここは皇太子が小和田雅子さん(当時)にプロポーズした場所だった。

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GHQも鴨がお好き?

「鴨場接待は明治以来の伝統で、敗戦直後はGHQに対しても非公式招待という形で行われていました」
 と言うのは、『天皇陛下の私生活 1945年の昭和天皇』の著者、米窪明美さん。捕った鴨はすぐにさばかれて、醤油を付けたりして鉄板で焼いて食べた。醤油風味の新鮮な鴨肉でバーベキュー、という感じだ。野外で行われる健康的な遊びで夫人や子供たちも同伴できるから米国人の心をつかみ、希望者が殺到したという。鴨猟の準備は案外大変で、1カ月に2回くらいが関の山だったが、毎週土日に行わなければならないほどの盛況ぶりだった。

「春になって鴨がいなくなると下総(しもふさ)の御料牧場、夏は長良川(ながらがわ)の鮎漁と、接待攻勢は続きました。地道な接待作戦でGHQ内に皇室ファンを増やしていったんです。鴨猟の非公式招待は、日本の主権が回復されたサンフランシスコ平和条約が発効する昭和27年まで続けられました。おそらく他の接待も同様でしょう」(米窪さん)

 ちなみに、現在の鴨場接待では、捕獲した鴨は野に放っているという。

デイリー新潮編集部

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