“早稲田より慶應人気”人文科学系でも 「文学」「文化構想」「教育」学部それぞれの特徴

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慶應文の三つの特徴

 続いて慶應の文学部。大学通信の安田氏は、

「慶應自体のブランドイメージが上がるのに伴い、難化したのは間違いない」

 と話すが、カリキュラムなどは不思議と早稲田に似ている。大学の文学部紹介ビデオによれば、やはり三つの特徴があるという。

 その一つは「17専攻、2部門にわたる幅広い研究分野があること」。「研究領域は幅広く、従来の文学のイメージをはるかに超え、学問・芸術、科学を包含する知の体系そのもの」だという。二つめは「専攻の選択は2年次から」で、「どの専攻でどんな研究に取り組むかをじっくり見極めることができる点」で、これは早稲田と一緒である。そして三つめが「125有余年の歴史があること」。早稲田の2学部の前身と同じ年に創設されていたのだ。

 国語国文学や地理歴史など、文学部と重なる学科や専修が多い早稲田の教育学部はどうだろうか。

「少子化で教員採用に不安を感じる人が多いうえ、無償の残業が多いなど、教員という職業のブラックな側面も報じられ、早稲田の教育学部も人気が落ちてきています。しかし、総合大学のなかの教育学部なのでいろんな人と交流でき、個性的な人も多いので、これからの教育改革には有為な人材だと思います」

 と、石原氏は評する。

 だが、HPの学部・学科紹介等によれば、「教員免許の取得が必須でない開放型の教育学部」で、免許の取得率は「学部全体で21%」にすぎないとか。むしろ「12の学科・専攻・専修にわかれ」て、「幅広い教養と深い専門性を身につける」ことが強調されている。

 要は、教員養成が念頭に置かれてはいるが、「学校教員の養成にとどまらず、産学官のリーダー、最先端研究を実現する研究者を養成し、社会の〈教育者〉を輩出したい」というのだ。また文学部との最大の違いは、受験時に一つの学科や専修を選ぶので「1年生の時から専門的な教育を開始できる」という点だろう。

(4)へつづく

週刊新潮 2019年1月17日号掲載

特集「同じ文学部でも就職先がこんなに違う! 『早稲田大学』vs.『慶應大学』入学するならどっち? 第2弾」より

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