アジア杯初戦は辛勝、森保ジャパンの油断とピンチを救った長友佑都

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苦しんでの勝利の方が今後につながる

 前半の日本は右サイドの堂安と酒井宏樹のコンビによる攻めが多かった。しかしサイドにも人数をかけて守る相手に酒井はなかなか崩しきれない。しかし後半は左サイドMF原口元気のカットインからできたスペースを長友が果敢に使い、相手の意識を右サイドに集中させる。

 彼らの連携から大迫の2ゴールが生まれたわけだが、とりわけ2点目をアシストした長友は、諦めずに左サイド深くまで攻め込んだことは高く評価したい。森保監督もハーフタイムに「背後への動きを増やしていこう」という指示が的中した形だ。ロシアW杯を経験したベテランや中堅選手が日本の窮地を救ったと言える。

 さらに森保監督が「後半はダイナミックな動きを入れることで、相手は難しい守備をしなければいけなくなったと思う。縦パスからのコンビネーションも織り交ぜられた」と振り返ったように、後半25分にはゴール前で大迫や南野がスルーするなど余裕を持ったプレーを披露。それが26分、ワンツー崩れから南野、堂安とパスが渡り決勝の3点目が生まれた。

 先制点のきっかけを作った堂安は「追加点がないときついなと感じていたので、大事な3点目を取れて良かった」と安堵していたが、20歳でのゴールは日本代表にとってアジアカップ最年少得点記録でもある。

 イランやサウジアラビアのように、格下相手からは大勝して欲しいと願うファン・サポーターもいるだろう。しかし、トルクメニスタンは好チームだった。そんな相手からリードを許しながらもしっかり勝ったことの方を評価したい。苦しんでの勝利の方が今後につながると思うからだ。

 そしてベテランと若手の融合が、ほんの少しではあるが前進したことも評価していいのではないだろうか。大会はまだ始まったばかり。エンジョイするのはこれからだからだ。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班

2019年1月11日掲載

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