「ノーパンしゃぶしゃぶ」が崩壊させた官僚の信用 関係者はOB会不参加

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OB会不参加

 捜査の陣頭指揮を執った熊崎氏が続ける。

「官民が飲食をともにしてはいけないとまでは思っていませんでした。意見交換して幅広い視野を持つことは有益だからです。しかし、あまりに度を超していた。大蔵省の金融検査官が、検査を行う相手の銀行員からノーパンしゃぶしゃぶで接待漬けだなんて、誰が聞いても“まともな検査ができるのか”と思いますから」

 当時の金融行政は護送船団方式で、大蔵省がすべての金融機関を監督、指導していた。金融機関は、新店舗の出店や新商品の発売に至るまで、つまり、なにをするにも大蔵省の許可が必要だったのである。

 そんな強大な権力が、捜査の過程でたまたま浮上した徒花によって崩れた。最終的に、処分を受けた大蔵官僚は112人に上る。

 崩壊したのは、官僚のなかの官僚として歩んでいた大蔵官僚の権威も同じ。実際に減給処分を受けた大蔵省関係者が苦い顔で語る。

「振り返ると、ノーパンしゃぶしゃぶの一件は、大蔵官僚の信用失墜の最大かつ決定的な要因となったといえますね。それまでは、なんだかんだいっても、“国民のために頑張っているんだ”と見てくれる人はいました。ですが一件以降、官僚に対する社会の信用がどんどん薄れた。汚職だとか天下り、傲慢というイメージしかないでしょう。先の文書改竄や事務次官のセクハラもそうでしょうし」

 もう一つ、と付け加えて、

「いまでも、一緒に働いた部署の仲間たちとは定期的にOB会を開いているんです。でも、ノーパンしゃぶしゃぶに関係した部下が参加したことはありません。幹事が呼ばないのか、呼ばれても来ないのかは分かりませんけれど」

 色に溺れて財政赤字の人生となった大蔵官僚たちも、バブルの残滓なのだろう。

週刊新潮 2018年12月27日号掲載

ワイド特集「平成の『カネと女と事件』」より

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