「ノーパンしゃぶしゃぶ」が崩壊させた官僚の信用 関係者はOB会不参加

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 20年前に発覚した「大蔵省接待汚職事件」。官僚たちは、金融機関からの接待の見返りに便宜供与を図っていた。その癒着の象徴が、「ノーパンしゃぶしゃぶ」。店に入るとそこに現れ出でたるは……。ザ・最強官庁、大蔵省の官僚も目尻を下げ、口まで軽くなるのだった。

 ときは1990年代後半、バブル崩壊後。世間にはまだ、バブル時代の浮ついた空気が残っていた。

 短いスカートにノーパンだから、ヘアや局部がのぞくこともある。しゃぶしゃぶに専念する耐性をそなえた官僚などいない。

 だから、MOF担と呼ばれる金融機関の大蔵省担当者たちは連日連夜、大蔵官僚をネオン街に誘い出した。「勉強会」「意見交換会」といった名目で、風俗ではない飲食費で落とせる店だから問題なかろう、と。

「接待をするMOF担にしても、される側の大蔵官僚にしても、手帳がびっしりと接待の予定で埋まっていることが有能さの証明であり、ステータスでした」

 と、経済ジャーナリストが振り返る。

「あのころは欧米から金融自由化の波が押し寄せ、金融行政の大きな転換期でした。そして、バブル崩壊で大きな不良債権を抱えた金融機関は生き残れるかが問われていた。MOF担にとっては、大蔵省の本音と金融検査の日程と支店名を官僚から引き出すのが最重要課題だったのです」

 それが続いたために、

「当事者たちの感覚は麻痺して、官と民との癒着の構造、いわば“接待の海”が広がっていきました」

 元東京地検特捜部長の熊崎勝彦氏はそう語る。

 特捜部は98年1月、金融機関による大蔵官僚への接待を贈収賄事件として摘発。最終的に現役の大蔵官僚4人を逮捕した。

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