F35も追加発注 安倍首相の「トランプ」お追従から見えるもの

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 かつて伊勢志摩サミットで〈リーマン・ショック前に似ている〉と強弁して顰蹙(ひんしゅく)を買った我が国の宰相である。もう、世界の指導者を前に頓珍漢なコトを言うのにも慣れてしまったか。

 先のG20サミットで、日米首脳会談に臨んだ安倍総理の発言に、またも世界は驚かされた。

 政治部デスクによれば、

「冒頭、総理は“中間選挙は歴史的勝利でしたね”とトランプ大統領を祝福したのです」

 解説するまでもないが、先のアメリカ中間選挙では、8年ぶりに民主党が下院の過半数を奪取。トランプにとって“勝利”とは程遠い結果に終わった。しかし、

「あの発言が単なる言い間違えや皮肉でないところに、問題の本質が見えるんです」

 と先のデスクは呆れ返る。

「北方領土を巡る対露交渉も、日中関係も、拉致問題も、そして政権安定の要であるアベノミクスさえも、トランプの機嫌を損ねた途端に崩壊する。結果、総理はF35を追加発注し、“FTA”を締結し、中国を牽制してトランプにお追従を言う他ないんです」

 もっとも、日本の総理によるアメリカ大統領のご機嫌取りは、今に始まったことではないはず。

 しかし、京都大学名誉教授の中西輝政氏によれば、

「安倍総理は2年前の大統領選直後、トランプが大統領に就任する前に尻尾を振ってトランプ・タワーに駆け付けた。この前例のない、リスキーな距離の取り方が今になって政権の重荷になっているんです。あれだけ尽くしたのにトランプが日本を度外視した政策を取れば、安倍総理の威信は地に落ちてしまいますからね」

 さらに、

「トランプに限らず、総理は官邸主導の旗印のもと、外国首脳との個人的関係に拠って立つ外交を展開してきた。ただ、官邸主導とは、裏返せば政権のための外交。総合的な視点によるブレーキが利かなくなってしまっているのです」

 我々はとんだ暴走列車に乗車してしまったのだ。

週刊新潮 2018年12月20日号掲載

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