「中谷美紀」「白鳥久美子」結婚報道……“なお妊娠はしていない”がNGになる日

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“できちゃった結婚”を避ける風潮

 結婚報告の会見開催のFAXに、妊娠していない旨が明記されていることもあるという。いつからこんなことになったのか。

「最初に妊娠していないことを打ち出したのは、鈴木杏樹(49)ではないかという指摘があります。彼女は98年6月に外科医と結婚(後に病死)するのですが、交際のきっかけがこの年の1月に彼女が緊急入院したときの担当医の1人でした。それからわずか半年でのスピード婚ということで、それが妊娠のため、という報道があったんです」(古参の芸能担当記者)

 当時の記事を見てみよう。

〈……一部では、鈴木が妊娠したための入籍という報道も流れたが、所属事務所では「そういう事実はない。ちゃんとした順序を踏んでいる」と話し完全に否定している。〉(スポーツ報知:98年6月7日付)

〈……杏樹が1月に腸閉塞(へいそく)で緊急手術した際の医師団の1人で、その後交際を続けてきた。なお、関係者は一部報道での妊娠説を否定している。〉(スポーツニッポン:98年6月7日付)

 結婚の会見は6月8日だが、妊娠の否定がすでに前日に記事になっている。そして所属事務所のコメント「ちゃんとした手順を踏んでいる」という否定っぷりも異例だ。

「現在の“デキ婚”の元々の言葉である“できちゃった結婚”という言葉が使われ始めたのが90年代後半と言われています。杏樹の結婚に先だつ96年には、のちの離婚後に子供のDNA鑑定にまで発展した喜多嶋舞(46)と元光GENJIの大沢樹生(49)が結婚しているのですが、この時は『できちゃった結婚って言われるのは嫌だな』と言っていた喜多嶋が、事実、デキ婚だったので話題になりました。当時は、できちゃった結婚が恥ずかしいことという風潮があったんですね」(同・古参の芸能担当記者)

 ちなみに、流行り言葉が数年遅れでこれ見よがしに使われ始める国会で、“できちゃった結婚”が最初に使用されたのは2001年6月6日の文部科学委員会でのこと。

 質問に立ったのは、ヤジに怒って壇上からコップの水を浴びせかけたことが大問題となった松浪健四郎衆議院議員(72/現在は政治家を引退)である。

〈きょうの新聞は、梅宮アンナちゃんができちゃった結婚だ、昨年の暮れは、私の娘が大好きなキムタクがやはりできちゃった結婚。このごろできちゃった結婚が多いわけですね。このことについて批判はできないわけですけれども、こういう母親に、また父親に、きちんとした教育ができるのだろうか。大変な虐待で子供が虐げられておるということは新聞が教えてくれております……〉

 いまなら、コップの水よりも大問題になりそうな質問である。敢えて国会で訊くような話ではないようにも思えるが、文部科学大臣政務官であった池坊保子衆議院議員(76/現在は政治家を引退)はこう答えている。

〈……できちゃった婚のそういうような親、子供、子供が親になったような人もいるわけでございますから、文部科学省といたしましては、平成11年度から、母子健康手帳の交付時に、子育てのヒントとなるしつけのあり方などを盛り込んだ家庭教育手帳とか家庭教育ノートというのを配布、作成しております。(中略)行政がこんなことをしなきゃいけないのかというようなお考えもあるかもしれませんけれども、何にもしないと、母親になっちゃった、なっちゃって、しつけはどうしていいかわからない、ミルクの飲ませ方もわからない。今度、しつけるとそれが児童虐待になってしまう……〉

 デキ婚による児童虐待(もちろんデキ婚がだけが原因ではない)が社会問題化していたのである。このイメージの悪さを避けるため、芸能人は妊娠の否定つき結婚報告となり、それがいまも続いているようなのだ。

 内閣に少子化対策を担当する国務大臣が置かれるようになったのは2003年のこと。デキ婚でも子供が増えているうちはまだマシだった。SNS上で最近もよく見受けられる“批判の声”がより高まれば、いずれ「妊娠していない」がNGワードになる日が来るかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2018年12月10日掲載

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