「ドルガバ」を中国から追放した「ネット義和団」の愛国

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 かつての「反日デモ」を思い返せば、日の丸を燃やし、日本料理屋を破壊するお国柄である。とはいえ、いま中国で引き裂かれているのは1着60万円は下らないドルチェ&ガッバーナ(以下、ドルガバ)のパーティードレス。イタリアの超高級ブランドが中国から追放された背景には、新たな「チャイナリスク」があった。

〈私が受ける全てのインタビューで中国はクソ・クソ・クソ・クソ・クソの国だと言ってやるよ〉〈中国は無知で臭くて汚らしいマフィアだ〉

 と、まぁ、知性の欠片も感じさせない悪口で中国を罵ったのは、ドルガバの共同創立者にしてデザイナーのステファノ・ガッバーナ氏である。騒動の発端は11月17日、上海でのファッションショーを前にドルガバが配信したプロモーション動画。その内容はといえば、アジア系の美女が箸をピザに突き刺したり、パスタを汚らしく巻き取るという珍妙な代物だった。

「ドルガバはエンターテイメント性の高い派手なショーで有名ですが、こんな品のない動画で話題作りをしてはコンプライアンス意識の欠如を指摘されても仕方がない」(業界関係者)

 実際、この動画には非難が相次ぎ、インスタユーザーがステファノ氏に直接メッセージを送ったところ、冒頭の「クソ」発言が返ってきた。ファッションジャーナリストの西山栄子氏によるとドルガバは、

「華やかな装飾と個性的なデザインで知られ、ハイブランドのなかでも価格は高め。トランプ大統領夫人やマドンナなどのセレブも愛用しています。ルイ・ヴィトンやディオールのLVMHのようなグループに属さないのも特徴で、創立者2人が決定権を握っている。今回の騒動もワンマン経営が招いた結果でしょうね」

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