「今日から俺は!!」「セトウツミ」…平成最後の冬ドラマで“学ラン”大流行のナゼ

エンタメ2018年11月25日掲載

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 今秋のドラマ、なにか奇妙な現象に気づいていらっしゃいますか? コラムニストの林操氏に言わせると、それは“学ラン”。ブレザーでもなく、古式ゆかしい制服、あの黒い詰め襟の学生服が目立つという。一体、どういうことなのか、分析してもらおう。

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 よせばいいのに連ドラばっかり見てると、それでなくとも整理整頓されてない頭がますます混乱してくるときがあって、この10~12月期で言えばまず、「獣になれない私たち」(日テレ系水曜夜10時)の新垣結衣と「中学聖日記」(TBS系火曜夜10時)の岡田健史。

 仕事にも男にも翻弄されるアラサーの新垣の役名が深海晶なら、女教師と乳繰り合おうとする中学生の岡田健史の役名が黒岩晶。録画やネット配信で2本続けて見たりすると、こっちで「アキラ」、あっちで「アキラ」、さっきの「アキラちゃあん」が今度は「アキラくぅん」って具合だから、ちょっと画面から目を離して耳だけで筋を追ってたりするときなんて特に混線する。

 同じような偶然のダブり物件は今期、もう1組あって、それは「今日から俺は!!」(日テレ系日曜夜10時30分)と「セトウツミ」(再放送。BSテレ東木曜深夜0時)。かたや80年代の千葉のツッパリ高校生2人が暴れまくるコメディー、かたや現在ただいまの大阪のフツーの男子高校生2人が淡々と日常を生きるコント集ゆえ、連続視聴したら大混線、なんてことはないんだけれど、いずれも高校生男子のバディー(相棒)モノで、どっちも呑気に笑って見てられる秀作です。

 なのに、それが同じクールに並んで出てこられたせいでアレコレ思うところ噴出、なかなか気軽に楽しめない。しみじみ考えこまされちゃうのは、「外枠は同じニッポンの男子高校生なのに、時代が平成直前と平成末期で30年離れると、中身はこんなに違うのかぁ」というあたり。

「セトウツミ」のセトとウツミは、別に進学校の生徒でもないのに、身体が動くより先に頭が回って、相手の気持ちや出方を無駄に先読みする「アタマでっかち」だし、一方、「今日から俺は!!」の三橋と伊藤は、気持ちに火がつけば即、手が出て足が出る「カラダでっかち」という具合でね。

 ご存知のとおり少年犯罪の件数ってのは、この10年の変化だけ見ても激減しているわけですが、粗暴犯が減るのとは反対に、オレオレ詐欺の受け子(カネの受け取り役ね)のような知能犯の共犯に巻き込まれる少年は増えてるって話をつい最近、聞かされたときも頭をよぎったですよ、「今日から!!」のカラダでっかちワールドと「セトウツミ」のアタマでっかちワールドが。

 面白いなぁと思うのは、そのどちらも今、ウけていること。男子高校生どもが殴りまくり蹴りまくりの「今日から!!」のカラダでっかちな世界が、小・中学生から高校・大学生、さらに20代・30代にまで至るツッパリを知らない子供たちにまで受け入れられてるようで、ワタシの周りにもファンが多いし、視聴率も10%超えが見えてきた。

 他方で「セトウツミ」も、テレ東の深夜ドラマという“二重苦”を背負いながらDVDボックスも売れてるらしい。

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