このままでは再犯します――「お姫様抱っこ監禁事件」男の訴え 未解明に終わった性犯罪の“原因”

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余罪300件の性犯罪者が告白した「私はきっと再犯する」――黒川祥子(2/2)

 意識を失った女性をアパートに運び込む「お姫様抱っこ監禁事件」で起訴されたのは、強姦やわいせつ略取などの被害者9名についてである。だが、事件を起こした栗田良文(36)は“余罪は300件以上”と供述し、「きっと再犯します」と語るのだ。拘置所で栗田との面会を重ねたノンフィクション・ライターの黒川祥子氏が、その内面に迫った。

 一連の犯行でターゲットとなったのは髪の長い女性だった。施設で育った栗田は、5歳で川上家(仮名)に引き取られることとなったが、髪に対する異様な執着は当時から見せていた。小学3年の時に女子の髪を切る、私物を盗むといった問題を起こしたほか、小学5年時には電車内で寝入る女性の髪を触ることに“成功”。「それから、どんどん寝ている女性を探して、髪を触るようになった」(栗田)という。

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 問題行動は、中学に入ってからも変わらなかった。3人の女子の長袖ジャージを盗んで大問題となったが、再び、盗んでしまう。

 母親や教師は、栗田に異様な何かを感じたはずだ。しかし、性的な問題行動への対応はなされず、川上の両親が選んだのは縁切りであり、連れて行かれたのは、児童相談所。栗田は再び施設へと送り込まれた。

 児童相談所で、川上の両親と5回、面会した。

「“家に帰りたい”と大泣きしてお願いしても、両親は“帰れません。もう、面倒は見られない。私らはもう、おまえとは関係ない”と一方的に言うだけ。姉が横で、ずっと泣いていた」

 家族から見捨てられたという被害意識。それは栗田のその後の人生に重い影を落とす。

「なぜ? どうして? 川上家に帰りたい。ずっとそう思っていた」

 児相も施設も、栗田が「性的問題」で里親から縁を切られたことを認識していたが、心理カウンセリングなど、何らかの手立てが講じられることはなかった。

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