このままでは再犯します――「お姫様抱っこ監禁事件」男の訴え 未解明に終わった性犯罪の“原因”

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“これでやめられる”

 20代前半には迷惑防止条例違反で、鉄道警察に何度か逮捕され、勾留された。

 髪を触るだけの行為から、家に連れ帰るという行為に発展したのは、「同業者」の連れ去り行為を何度も目撃し、自身が「眠れない」と精神科に出向き、睡眠導入剤などを手にしてからだ。

 土日になると午前3時に起床し、始発電車に乗る。酩酊している髪の長い女性を見つけたら、横に座り薬を飲ます。薬が効くまで15~30分かかる。降りる駅のホームでは、駅員を呼んで車椅子を用意させ、駅からはタクシーを使う。カップルを装い、それを疑う者はいなかった。

 横浜線相模原駅から徒歩20分、住宅街の中にある、白いタイル張りの3階建てアパートが犯行現場だ。

「『お姫様抱っこで』と書かれたけど、寝ているから全身の力が抜けて重くて、あんなの無理。階段の幅も狭いし、両手で前に抱え、階段に足が触れないように身体を浮かせて、3階まで運ぶ。タクシーの運転手に手伝ってもらうこともあった」

 降りる駅は変えていたが、同じ運転手に5回あたったことがあり、住所を言う必要も無くなった。「毎回、違う女性なのに、よくばれなかった」と栗田。

 ベッドに寝かせ、髪の毛を触ったり撫でたり、匂いを嗅ぎ、胸を触る。栗田によれば、連れ込んだ女性は7年間で300人以上。

「最初は服も脱がせず、髪の毛だけ。マスターベーションも毎回ではない」

 栗田は、家に連れ込んだ女性の動画を撮影していた。

「後で動画を見て、マスターベーションをする。300人以上連れ込んで、SEXまで行ったのは20人ぐらい。SEXにそれほど意味はないし、裸にしたのは、捕まる3~4カ月前から」

 意識が回復すると、「寝ていて無防備だったから」と説明。女性は納得し、お礼を言われることもあり、帰りは一緒に駅まで歩き、横浜駅まで送ったこともある。

 未明に起き、準備をして電車に乗り、泥酔女性を連れ帰って、意識を取り戻した女性を帰すという、一連の過程そのものが快楽となった。パターン化した行動を、機械的に繰り返す。逮捕された時、ほっとしたと栗田は言う。

「これでやっとやめられる」

 女性たちは、警察で動画を見せられ、自分が意識のない中、わいせつな行為をされていたことに、衝撃を受ける。

 電車で寝ていただけなのに、薬で自由を奪われ、おぞましい行為をされるいわれはない。栗田には、人はモノのように映っていた。

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