日本人「海外口座」55万件を入手した国税庁 「摘発第1号」は…

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 ある日、税務署から突然封書が届いた。開けてみると、慇懃な文章が目に飛び込んでくる。

〈あなたの申告所得について、調査の事前通知を行いますので、お忙しいところ誠に恐れ入りますが、下記の担当者宛までご連絡くださいますようお願いいたします〉

 慌てて電話をしてみると、担当者が、おもむろに聞いてくるではないか。

「海外に送金して金融商品を買っていますよね?」

 家族にも内緒で運用しているタックスヘイブンの口座のことを知っているようだ。結局、修正申告をして、多額の追徴課税も払うことになってしまった――こんなことが、来年から急増するかもしれない。

 国税庁が日本人の海外口座(日本居住者)の情報55万件を入手したと発表したのは、10月31日のこと。口座情報は64カ国・地域にまたがっているというが、それにしてもずいぶんな数である。

 国税庁担当記者が言う。

「今回、国税庁が大量の口座情報を得られるようになったのは、OECDが作った『CRS』(共通報告基準)に基づいて、各国の税務当局が自動的に情報交換する仕組みに参加したからです。情報はすべてデータ化されており、CRSに参加すると情報提供が義務化されることになります」

 口座情報は氏名、住所、そして金融機関名や残高なども分かるようになっており、CRSの参加国には香港やシンガポールなどのタックスヘイブンも入っている。だから、日本からこっそり送金する隠し口座を作ったつもりでも国税庁には筒抜けになるのだ。

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