「安田純平さん」解放 手放しで喜べない「3億円」の裏事情

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「借り」を作った日本政府

 菅義偉(よしひで)官房長官は身代金の支払いについて否定しており、真相は藪の中だが、いずれにせよ、政府は水面下で安田氏救出に向け奔走していたという。

「菅さんは『国際テロ情報収集ユニットが機能した』と明かしています」(官邸担当記者)

 国際テロ情勢に詳しい公共政策調査会の板橋功・研究センター長が後を受ける。

「このユニットは、外務省、防衛省、警察庁、内閣情報調査室などから集められたメンバーで構成され、外務省内に設置されていますが、全員が内閣官房兼任です。つまり、総理・官房長官直結の組織。現在は定員80名ほどで、安田さん救出は、15年に発足した同ユニットにとっても最重要課題だったと言えるのではないでしょうか。安田さん救出に協力してくれたカタールやトルコの情報機関と信頼関係を築き、彼らにシリアの反政府組織と交渉してもらったものと思われます。身代金が支払われていなくても、日本政府がカタールやトルコに『借り』を作ってしまったことは事実です」

 ある中東専門家が続ける。

「借りを作った以上は『お返し』をしなければならず、例えばカタールが国連の非常任理事国に名乗りを上げた際、日本が賛成の一票を投じるといった形での『恩返し』が考えられます」

 このように、安田氏の拘束および解放は、日本外交に少なからぬ「影響」を与えたと言えそうなのである。

週刊新潮 2018年11月8日号掲載

特集「『安田純平さん』手放しでは喜べない『3億円』の裏情報」より

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