被害額55億円 地面師に騙された「積水ハウス」が“五反田の土地”に飛びついた事情

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 売上高2兆円を誇る積水ハウスが東京・西五反田の土地売買を巡り、その代金を騙し取られた案件が世間の耳目を集めてきた。それが大きく動いたのは、去る10月16日のことである。

 警視庁担当記者にざっくり説明してもらうと、

「2017年4月から6月にかけて、分譲マンションの建設用地として、積水は不動産会社を通じ、所有者を名乗る女性から土地を購入する契約をしました。不動産会社を通して女性に代金を支払ったが、女性側から提出されたパスポートなどは偽造されたものだと判明。それ以降、女性側とは連絡が取れなくなって、結果として55億5千万円を積水が騙し取られることになったのです」

 今回の犯行を仕掛けたのは、所有者に成りすまして土地を無断で売却してカネを騙し取る地面師グループ。そんな荒唐無稽なこと成立するの?というムキも少なくなかろうが、最も狙われやすいのは、地権者が高齢で存命だけどそこに住んでおらず、抵当権がついていない土地だ。ターゲットの不動産を見つける者、書類などを偽造する者、地主に成りすます者、そして全体の画を描く者……様々な担務に分かれているのだ。

 今回逮捕されたのは差し当たって9名で、容疑は偽造有印私文書行使など。所有者役を担った羽毛田(はけた)正美(63)は容疑を認めている。しかし、土地売買を仲介し、6億5千万円ほどを手に入れた容疑者ら残り8人は否認している。

 他方、事件を主導したカミンスカス(旧姓・小山)操容疑者(58)は、警視庁捜査2課を出し抜くようにフィリピンに出国。その直前の羽田空港での模様は本誌(「週刊新潮」)10月25日号でお伝えした通り。警察庁を通じて国際手配される見込みだ。とはいえ、日本と彼の国との間には犯罪人引き渡し条約が結ばれていないため、手配の効力には疑問が残る。

「小山は二度と戻ってこないでしょうね」

 と、先の記者は当局にとって絶望的な見通しを口にするのだが、更にもう一人の主犯級・土井淑雄容疑者(63)も、逮捕直前に逃亡し、現在も行方をくらませている。

 要するに2人を欠いた警視庁大失態捜査ということになるわけである。

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