知っておくべき「乳がん」早期発見&予防法 医師が教える「しこり」の感触、唾液での最新検査法

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「さくらももこさん」の命を奪った「乳がん」に打ち克つ知恵(2/2)

 8月15日に亡くなったさくらももこさん(享年53)は、乳がんとの闘いを10年ほど前から続けていたという。乳がんは、国内の女性が罹るがんの中で最も罹患率が高い。早期発見のコツや生活習慣の注意点を、プロが解説する。

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 昨年、闘病の末に亡くなったフリーアナウンサーの小林麻央さんの場合、乳がんと診断される直前、たまたま胸を触っていてしこりに気付いたというが、

「セルフチェックは1カ月に1回くらい行うのが理想的です。手を乳房の上に置いて渦巻き状に回して探すのが良いとされていますが、途中で飽きてしまう患者さんも少なくありません」

 と、新宿ブレストセンタークサマクリニックの日馬幹弘院長。

「私が薦めているのは、自分の乳房の硬さを覚えることです。自分の乳房の硬さが分かっていれば、それより硬いしこりを探すのも簡単ですから。生理後2、3日が比較的柔らかく、生理直前が最も硬いと言われています。乳がんのしこりは、厚手のズボンに入れた消しゴムを触るような感覚があります」

 国立がん研究センター中央病院乳腺外科の科長を務めている木下貴之医師は、

「触るだけでなく、お風呂場で鏡を見ながら左右で形や大きさに違いはないか、怪しいへこみや引きつれ、赤い腫れがないかを探すのも大切です。あとは、乳頭から分泌液が出ていないかも見ると良い。白や透明の液体ならほとんど心配はないのですが、血液のような液体が出てきた時は要注意です」

 そうして定期的にセルフチェックをしつつ、どのような生活を送ることが乳がんの予防に繋がるのか。

「ほどよい運動を毎日行い、過度な飲酒、喫煙を避け、動物性の脂肪やたんぱく質を摂りすぎないこと。そうした生活習慣の改善によって乳がんになるリスクをある程度下げることができます。また、大豆をほどよく摂取することによっても、発症リスクを下げられると言われています。大豆に含まれるイソフラボンはエストロゲンと似た構造を持っており、エストロゲンが細胞に作用するのを防ぐことができるのです」(先の日馬院長)

 つまり、毎日、豆腐や納豆を食べると乳がん発症のリスクが下がる可能性があるわけだ。ただし、“摂りすぎ”は逆効果で、

「サプリメントに含まれる高濃度のイソフラボンには注意が必要。高濃度のイソフラボンはエストロゲンと同様の効果をもたらし、逆に悪性腫瘍増殖のトリガーになってしまうのです。また、ロイヤルゼリーやプラセンタにも同様の作用があります」(同)

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