「さくらももこさん」の命を奪った「乳がん」に打ち克つ知恵――4つのタイプ、その治療法

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トリプルネガティブ

 それでは、乳がんにならないためには何をすれば良いのか。検診はどのように受けるのがベストなのか。それを理解するためには、そもそも、乳がんとは何なのかという点について把握しておく必要があろう。

「エストロゲンの働きによって母乳の通り道である乳管の細胞が増殖する際、遺伝子のコピーミスが生じることがあり、それが積み重なって悪性腫瘍に。これが乳がん発症のメカニズムです」(先の日馬院長)

 日本乳癌学会元理事長で北里大学北里研究所病院の池田正医師によると、乳がんは大きく分けて四つのタイプに分類できるという。

「一つ目は、ホルモン療法が効いて、細胞分裂指数が低いルミナールA型。二つ目は、ホルモン療法が効いて、細胞分裂指数が高いルミナールB型です」

 これらはいずれもエストロゲン依存性乳がんとも呼ばれ、全体の7割を占める。

「三つ目は、分子標的治療薬が効くハーツー(HER2)タイプ。四つ目は、ホルモン療法も分子標的治療薬も効かず、抗がん剤しか効かないトリプルネガティブというタイプ。トリプルネガティブは薬物療法の選択肢が少ないという点で非常に厄介なものです」(同)

“厄介”というと小林麻央さんのケースを思い出してしまうが、彼女のブログには、がんが見つかった際にホルモン療法を提案された、との記述があるので、トリプルネガティブだったとは考えにくい。

(2)へつづく

週刊新潮 2018年9月13日号掲載

特集「『さくらももこさん』の命を奪った 『乳がん』に打ち克つ知恵」より

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