アグネス・チャン、デビュー35周年で感じた“異変”  私はこうして「乳がん」から生還した

芸能週刊新潮 2018年9月13日号掲載

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 異変を感じた日、2007年9月19日のことは今でも鮮明に憶えています。

 当時、デビュー35周年を迎えた私は大忙し。コンサートだけでも100件近くあって、9月末には北京の人民大会堂でチャリティーコンサートが予定されていた。ところが先方の要望で延期となり、自宅で束の間の休みを満喫していた際に乳房のしこりに気づいたのです。朝からソファーに寝転がりテレビを見ていたのですが、右胸が痒くて掻いた際、小豆くらいの大きさのしこりが指に引っ掛かり、“あれっ”と思った。

 普段なら見過ごしていたかもしれませんが、偶然にも1週間ほど前にがん啓発のイベントに参加していたため、もしかしたら……と思い、病院に向かいました。当時はかかりつけのお医者さんがいなかったので、子どもを出産した産婦人科で超音波による検査を受けました。そこで怪しいものが見つかり、確定診断のために東京の聖路加国際病院でマンモグラフィーとエコーによる検査と細胞診をして、ようやく乳がんと分かりました。

 まさか私が……と、青天の霹靂。家系を辿っても乳がん患者はおらず、食生活には十分に気を配ってきた。もちろん、お酒もタバコものみません。どうして、と涙が止まりませんでした。

 ただ、早期発見できたこともあり、がんの進行はステージIでしこりも4ミリほど。普通、セルフチェックで見つかるのは1センチぐらいだそうで、先生からも“よく気づきましたね”と感心されたんです。それで、手術の日程を決める段になったのですが、12月には1万人超のお客さんを前にしたコンサートを控えていました。終わってからでいいですかと先生に聞いたら、“その間にリンパ節への転移がないとは限らない”と断られた。幸い延期になった中国でのコンサートのために空けていた日程を利用し、10月1日に手術できました。

 奇しくもその日は、ピンクリボンデー、乳がん啓発の日でしたね。手術自体は2、3時間で終わり、幸いリンパ節への転移もなく乳房は温存することができた。

 術後は2カ月近くの放射線治療と5年間のホルモン治療で、更年期に似た症状に苦しみましたが、今のところ再発はありません。年1回は必ずマンモグラフィー検査を受け、新たな腫瘍ができていないかチェックしています。

 乳がんにはまだ決定的な治療法というものはありません。飲めば絶対がんにならない薬も、必ず治る薬もない。でも早期発見・早期治療は間違いなく己を助けることに気づいて欲しい。

 メジャーながんの中で、乳がんは唯一、セルフチェックができるがんなんです。

 おっぱいを触っていつもと違うと感じたら、すぐに病院で検査すること。たったそれだけで、自らの命を救うことができるんですよ。

特集「『さくらももこさん』の命を奪った 『乳がん』に打ち克つ知恵」より