フジTVは“非常事態”を突破できるか――秋改編を読み解く

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非常事態宣言

 どろ船状態のフジの舵取りを、去年6月に託された宮内正喜氏は、社長内定の記者会見で「現在の低迷しているフジテレビの業績を上げる、この1点に尽きる」と宣言した。また今年1月に1年の抱負を聞かれ、「4月改編、10月改編が結果を出さなくてはいけない勝負」と答えた。さらに2月の定例会見では、「4月改編が最重要な改編」と予告していた。

 同局の編成幹部も、昨秋の改編で「今、フジは完全に非常事態」としていた。その半年後の今春の改編では、「非常事態」から「変えなければ生き残れない」と、危機感は一層高まっていた。

 その発言通り、今春の改編は大掛かりだった。

 改編率では全日28.2%・G帯29.8%・P帯29.5%。日テレの全日3.1%・G帯0.5%・プライム9.3%、TBSの全日4.3%・G帯9.1%・P帯15.0%と比較すると、フジの“変貌率”がいかに大きかったが分かる。

 象徴的だったのは、2つの長寿番組の打ち切り。

 21年続いた『とんねるずのみなさんのおかげでした』と、22年続いた『めちゃ×2イケてる!』を斬り捨てた。他にも『おじゃMAP!!』や『良かれと思って!』など、看板バラエティが消えていった。

秋改編の概要

 そして宮内社長が「結果を出さなくてはいけない勝負」と明言した、最後の改編となる10月改編。
 改編率は全日5.8%、G帯23.1%、P帯24.5%。今春の「史上最大の改編」に次ぐ規模となった。改編発表の席上、編成幹部は「フジテレビの顔になる看板番組を育てないといけない」「いろいろな層に見られる番組を作りたい」と説明した。

 今回のテーマは「勝負の秋、進化の秋」。
 今春の「変わる、フジ 変える、テレビ」から、いよいよ大詰め感が出てきた。
 具体的には、月曜夜10時の『世界の村のどエライさん』、金曜夜7時の『モノシリーのとっておき』、土曜夜7時の『さまぁ~ずの神ギ問』、土曜夜8時の『世界!極タウンに住んでみる』が終了する。

 そしてMC・所ジョージ(63)で『新説! 所JAPAN』、坂上忍(51)の『坂上どうぶつ王国』、佐藤二朗(49)の『超逆境クイズバトル!!99人の壁』などが新たに始まる。
 弱点だった週末を補強し、“家族全員で見てもらえる”ヒット番組の開発を目指すとしている。

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