心臓病、動脈硬化、アルツハイマーも“衝撃波”“超音波”で治療 東北大教授が解説

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“超音波”へのステップアップ

 しかし、下川教授は、さらに改良を進め、“衝撃波”から“超音波”へのステップアップを図ったという。

「衝撃波というのは、蓄積されたエネルギーが瞬間的に解放されたときに発生する単一波。そのため、心臓の拍動に合わせて照射する必要があり、1回の治療に2〜3時間かかります。また、肺に照射された場合、衝撃波が空気に触れて肺胞が破裂し、軽度の肺出血を起こす危険があります。一方、超音波は連続波ですから、心臓の拍動に合わせる必要がなく、時間も1時間程度に短縮でき、安全性もより高くなるのです」

 その後、“衝撃波”と同じ効果を示す“超音波”の治療条件を見つけるのに2年を費やしたという。

「周波数1・875メガヘルツ、波数が32波のパルス波超音波に低出力衝撃波とほとんど同じ効果があることが分かりました。パルス波とは、音波の“塊(かたまり)”を連続的に発射することを言います。その数は16波でも64波でもダメで、おそらく、32波のパルス波が生体と一番共鳴するのではないでしょうか。使用する強度は、健康診断で使われる心エコーや腹部エコーと同じ低レベル領域で安全です」

 重症狭心症に対する超音波治療の治験は、14年から東北大病院をはじめとする全国10カ所の病院で行われている。来年度には終了の予定だという。

 そして、この超音波治療は医療において、さらなる地平を切り拓こうとしている。我々の誰もが避けて通れない重大な問題、認知症を根本から治す可能性を秘めているのである。

週刊新潮 2018年8月16・23日号掲載

特集「罹患者500万人に福音! アルツハイマーを超音波で治す!」より

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