認知症かな?と思ったら…治療は早期発見がカギ 自宅で出来る脳機能テスト

ライフ 2016年6月28日掲載

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 わが国の認知症の患者数は、一説によると今や65歳以上の人口の10%(約242万人)に達しているという(厚生労働省HPより)。東京オリンピックが開催される2020年には、それが325万人まで増加するともされ、中高年にとって認知症は、もはや他人事ではすまない時代が到来している。

 東京都調布市のクリニックで、月に1000人近くの認知症患者を診る専門医の榎本睦郎氏(48)によれば、テレビも雑誌も不安をあおる情報ばかりなため、来院当初は途方に暮れる家族がほとんどという。

 そんななか、多くの人にまず知ってもらいたいのが「認知症治療は先手必勝」ということであり、「正しい知識をもって早期に適切な治療を受けるなら、認知症はそれほど怖くはありません」と、榎本氏は著書『笑って付き合う認知症』で指摘する。

まずは最近のニュースを訊いてみよう

しかし、実のところ、治療が必要なアルツハイマー型認知症などの症状と、治療の必要がない加齢による物忘れとを、一般家庭で早期のうちに見分けるのは難しい。そこで榎本氏が同書ですすめるのは、自宅でも出来る簡単な脳機能テストだ。

 まず一つ目は、「最近のニュースで印象に残っているもの」を訊いてみること。政治情勢であれ芸能情報であれ、正常な人の99%から何らかの答えが得られるのに対し、アルツハイマー型認知症の人は、わずか2%しか答えられないという。

 このテストで気をつける必要があるのは、「最近新聞を読んでいない」とか「ニュースは知っているが、特に印象に残ったものはない」といった取り繕いだ。そうした取り繕いがアルツハイマー型認知症では42%もの割合で認められるため、答えられないだけでなく、取り繕いがみられる場合も、病院で受診した方がよいと榎本氏は言う。

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1分間で動物をいくつあげられるか?

 もう一つは、「1分間で動物の名前をいくつあげられるか」で判断するものだ。これは東京医科大学高齢診療科の羽生春夫教授が開発したテストで、十二支を順番で並べるのは駄目という条件を付けた上で、1分以内に13以上の動物をあげられたら、まず問題ないと見てよい。

 病院で行なう認知症のテストとして一般的なのは、今年が何年かを訊いたり、ある図形を描かせたりするMMSE(Mini-Mental State Examination)というものだが、動物の名前をあげさせるテストはそれよりはるかに簡単で、かつ遜色のない結果がえられるという。

 これなら道具もいらず、ゲーム感覚で出来るので、相手に不信感を持たれることも少ないだろう。家族や友人の最近の態度に「あれっ?」と思ったら、この二つのテストを試してみても損はないはずだ。

デイリー新潮編集部