心臓病、動脈硬化、アルツハイマーも“衝撃波”“超音波”で治療 東北大教授が解説

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心臓の拍動に合せて照射

 研究を重ねた結果、尿管結石や腎結石の破砕に使われる出力のちょうど10分の1の強さの低出力衝撃波が、内皮細胞を最も増殖させることがわかったという。

「その後、スイスのメーカーと共同で、心臓病専用の衝撃波治療装置を開発しました。患者の左前胸部に発生装置を当て、心臓の拍動に合せて、一発一発、衝撃波を照射するという治療法です。血流が不足している心筋では衝撃波の効果で毛細血管が新生し、それに伴い血流も増加して心機能が改善する。その結果、例えば、1週間に6回もニトログリセリンを服用しなければならなかった重症の狭心症患者が、治療後はほとんど服用する必要がなくなりました」

 低出力衝撃波は、手のひらに当ててもわずかに圧迫感がある程度のため、心臓にダメージを与えるなどの副作用もない。

「“低出力体外衝撃波治療”と、iPS細胞やES細胞を用いた細胞治療を比較してみると、衝撃波の方は、その効果・安全性ともに実証済みですが、細胞治療はともに未だ不明。さらに、患者の負担についても、細胞治療は数千万円も治療費がかかるのに対して、衝撃波治療は安価で、手術で胸を開く必要もありません」

“低出力体外衝撃波治療”は日本では10年に先進医療として承認され、現在、世界では、25カ国で1万人以上の狭心症患者の治療に使用され、有効性と安全性が報告されている。

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