アテネでは死を意識… 野口みずき語る「東京五輪」マラソン酷暑対策

スポーツ 週刊新潮 2018年8月16・23日号掲載

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 東京五輪まであと2年。酷暑ゆえ、マラソンは午前7時スタートが決まったが、それも“焼け石に水”としか思えないほど、東京の夏は殺人的に暑い。そこで聞いてみた。野口みずきさん、どうすればいいですか?

「アテネも暑かったですが、東京はそれを超える物凄い暑さになると思います」

 と語るのは2004年アテネ五輪金メダリストの野口みずきさん(40)である。

「アテネも暑さを避けるために夕方のスタートでしたが、それでも気温は35度。アスファルトの照り返しもあり、体感温度は40度を超えていたかもしれません。大会後の取材で、私、“死を意識したのはアテネだけです”と答えていますが、本当に死ぬかもしれないと思ったレースでした」

 レースで野口さんはあえて先頭を走った。

「先頭で風を受けて走った方が疲労度が低いと思ったからです。集団の中は想像以上に人いきれが酷くて、選手が発する熱気を始終浴びています。これを避ける意味合いもありました」

 レース前、野口さんは、優勝候補のラドクリフが保冷剤で体中を冷やしていたのを目撃していた。

「どうして逆効果なことをするのだろう、と疑問に思いました。というのもキンキンに冷えた保冷剤は冷やしている間は良いのですが、外すと逆に暑さを感じてしまうのです」

 冷やすのは体全体でなく、

「手のひらだけ走る直前に10度程度の冷水で冷やすと、体の内側まで効果的に冷やせます。最近では、代表チームの合宿にも手を冷やす専用の機械が用意されているそうで、これをやるだけでもスタート時のパフォーマンスはずいぶん変わってくると思います」

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