弁護団が付いた後に精神錯乱… 「麻原彰晃」元死刑囚は“ガンゼル症候群”だった!

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奇妙なトライアングル

 もう一つ、麻原教祖の場合は、弁護団との人間関係が、異常行動の原因となっている可能性もあります。ご存知のように、今の弁護団の戦術は、一日でも長く弁護を引き延ばすことに腐心しているように見えます。現に、弁護団の一人は死刑廃止論者の年鑑で、死刑事件を担当している弁護士に、そういう合意があるということを発言しているのです。これは、彼らに、近い将来、日本が死刑廃止の国際条約を批准せざるをえない状況に追い込まれるという読みがあるからではないでしょうか。そのため、うっかり麻原教祖が余計なことをしゃべらないように、話す機会を与えないのだと思います。

 その意味で、弁護団の戦術は合理性がありますし、当然、麻原教祖にも状況は云わっているはずですが、彼が、完全に納得しているかというと疑問が残るのです。つまり、確かに、彼は命は助かりたいという気持もあるでしょうが、宗教家として格好良く死にたいという気持もあるはずです。ところが、裁判で、何もしゃべらせてくれないので、欲求不満が溜まり、彼の内部でも葛藤があるのでしょう。その結果、麻原教祖と弁護団と裁判所が、奇妙なトライアングルを形成して、にらみ合っているのが、異常行動の原因ではないかとも思えるのです。

 しかし、教祖があれだけ公の場で、醜態を晒していながら、未だにオウムの活動を続ける信者がいるのは、どうしてなのでしょう。それは、今もオウムの内部で、マインドコントロールが刷新され続けているからです。結局、オウムは社会から潰されず、世の中がひっくり返ればいいと密かに考えている人から認知されたカルト教団に生まれ変わったのです。

「FOCUS」1999年6月9日号

週刊新潮WEB取材班

2018年8月19日掲載

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