「インターナショナルスクール」理事長が“義務教育期間中は通わせるべきでない”と説く2つのワケ

社会週刊新潮 2018年7月19日号掲載

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「インターナショナルスクール」という秘境――おおたとしまさ(2/2)

 育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、インターナショナルスクールという“秘境”を徹底解剖する。

 話を伺ったのは、東京都港区にある「東京インターナショナルスクール」の創立者で理事長の坪谷ニュウエル郁子氏。理想の教育を実現するために前身となる私塾を開き、国際バカロレア機構日本大使、内閣官房教育再生実行アドバイザーなどの肩書を併せ持つ教育者だ。

 算数や理科といった教科の概念がなく、授業ではひとつのタームについて多角的にアプローチ。それも教室のラグの上でのディスカッションから始まるという。「グローバル熱」が高まる近年、授業が英語で行われるインターナショナルスクールに通わせたいと思う親御さんもいるようだが、意外にも坪谷氏は、

「日本に軸足を置いて生きていくことを前提にするのなら、少なくとも義務教育期間中は、インターナショナルスクールに通わせるべきではありません」

 と述べる。

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 理由は2つ。

「1つは日本語を深く学ぶ機会を失ってしまうから。日常会話には困らないという意味でバイリンガルにはなれますが、学校での知的刺激がすべて英語になってしまうと、日本語で考える脳が育ちません」

 日本での生活を前提にするのなら、あくまでも思考のベースは日本語であるべきだというのだ。

 実際、インターナショナルスクールの子供たちは中学校相当レベルを卒業すると、海外の高校に進学するか、高校相当のクラスをもつ別のインターナショナルスクールに転入することが多い。高校相当レベル卒業時には、海外の大学に進むケースがほとんどだ。日本の学校に戻るケースは稀である。

「2つめは、日本の学校教育が素晴らしいから。日本の教育はダメだとよくいわれますが、PISA(OECDによる学習到達度調査)の成績を見る限り、人口1億人以上の大国で、これだけの教育水準を保てているのは日本くらいです。世界から羨望の眼差しで見られることも多い日本人の共生の精神も、日本の学校文化の中で育まれている部分が大きい。むしろ日本の教育の良い点をもっと世界に広めていかなければいけません」

 日本人は自国の教育を卑下しすぎだというのだ。

「『お客様』として海外の教育を受けたひとたちが、『アメリカでは……』などと誇張しすぎです。私はアメリカの教育のひどさもよく知っています。あれをまねしようだなんて、無責任な意見です」

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