「アインシュタイン最後の宿題」解決、彼方からの重力波で何が分かるか 国立天文台教授の「宇宙」最新レポート

IT・科学週刊新潮 2018年7月5日号掲載

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国立天文台教授の「宇宙」最新レポート(1/3)

 古(いにしえ)から人類が夢に描いていたのが「地球外生命体」の存在だ。SFの世界の話と思われがちだが、近年、天文学は日進月歩。新発見の連続で、巨大宇宙船や「第二の地球」の存在すら想定しうるという。斯界の権威・国立天文台教授が、宇宙研究の最前線をレポートする。

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 この6月下旬、「はやぶさ2」――日本の小惑星探査機が、目的の小惑星リュウグウに到着し、大きな話題となっています。「2」も、先輩である「はやぶさ」探査機がなしとげたサンプルリターン(小惑星のかけらを地球に持ち帰ること)を再び行おうとしています。地球への帰還予定は2020年。ちょうど東京オリンピックの年に、再び人類は貴重なサンプルを手にすることになり、新発見が期待できます。

 この例に象徴されるように、2年ほど前から「宇宙」の世界では、凄まじいペースで新発見が続いています。そのなかでも特筆すべき発見をいくつか振り返りつつ、それをふまえて、今後の展望を述べてみましょう。

 まずはアインシュタインの最後の宿題と言われ、100年間誰一人捉えられなかった「重力波」の検出です。成功が報じられたのは16年2月。検出したのは、アメリカで試験運用に入っていた重力波検出装置LIGOです。LIGOはルイジアナ州リビングストンとワシントン州ハンフォードと、国内に離れて2カ所に設置されていました。その成果はわずか1年でノーベル物理学賞に輝きました。

 このときの重力波は、約13億光年(光が13億年かかって届く距離。1光年は約9兆4600億キロに相当)彼方の、太陽質量の29倍と36倍のブラックホール同士が合体して発生しました。大きな質量のものが急激に合体すると、空間の歪みが波、すなわち重力波となって光の速度で広がります。池に石を落とすと波紋が水面を広がっていくのと同じです。ただ、その歪みの大きさは極めて微小で、地球と太陽の距離の空間が水素原子1個分、伸び縮みする程度のもの。そんなわずかな歪みを捉えるのは至難の業です。真空のパイプを4キロも伸ばして、その中でレーザーを打ち、歪みを干渉という技術で捉えたのです。

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