秘境「インターナショナルスクール」を徹底解剖 教育の理想郷なのか、それとも…

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「インターナショナルスクール」という秘境――おおたとしまさ(1/2)

 元来は海外赴任者の子供が通うインターナショナルスクールが、日本人の保護者にも大いに注目されている。国際感覚が育つ、バイリンガルに育てられる、と。教育の理想郷なのか、それとも――。良くも悪くも日本の学校とは異質のこの「秘境」を徹底解剖する。

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 緊張感がない。いい意味で。子供たちの全身からにじみ出る雰囲気のことである。日本の学校では、子供たちが見えない鎧を着ているように感じることも少なくないが、それがない。

 東京都港区にある「東京インターナショナルスクール」を訪れた。校舎に入ってすぐ目に留まるのは、お風呂とピアノをそれぞれモチーフにした2つの大きなオブジェ。ポップでカラフルに表現されている。まるであのテーマパークの名物アトラクション「itʼs a small world」の世界観だ。

 そう。この学校自体がまさに「itʼs a small world」なのである。年長から中2に相当する9学年合計で定員は360人。世界60カ国から子供たちが集まっている。日本国籍しかもたない生徒の割合は5〜8%。

 入学時には、入学金が30万円、および施設開発への寄付金が50万円かかる。年間授業料は学年によって187万〜241万5千円。ほかに施設維持料が10万円、送迎バスを希望する場合は別途費用が年間34万円かかる。しかし約8割の生徒については、母国か親が所属する政府、企業が費用を負担しており、自腹の家庭は少ない。

「おそらく東アジアで最も自国籍のみの生徒が少ないインターナショナルスクールです」

 と言うのは、創立者の坪谷ニュウエル郁子さん。日本の受験社会に疑問を感じ、1970年代にアメリカの大学に進学した。9年間を過ごし、帰国後、理想の教育を実現するため、英語で学ぶテーマ探求学習スタイルの私塾を開いた。それが現在の東京インターナショナルスクールに発展する。

 とにかくパワフルで一本気。同校理事長のほか、国際バカロレア(世界トップレベルの初等中等学校教育を提供する2年制の教育プログラム)機構日本大使、内閣官房教育再生実行アドバイザーほか、数々の委員や客員教授の肩書きを併せもつ。

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