秘境「インターナショナルスクール」を徹底解剖 教育の理想郷なのか、それとも…

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安価で注目の「インド系」

 東京インターナショナルスクールは、国際的なインターナショナルスクール認定機関CIS(国際学校協議会)と、アメリカの学校評価機関であるNEASC(ニューイングランド学校協議会)、そしてIBO(国際バカロレア機構)からの認定を受けている。それがいわゆる「品質保証」になっている。

 CISに認定されている学校は国内に19校。東京で老舗として有名なのは、セント・メリーズ、清泉、聖心の3つ。横浜インターナショナルスクールは、世界で2番目に古いインターナショナルスクールだ。

 いわゆる「アメリカンスクール」は趣旨が違う。アメリカ人が、国外でアメリカの教育を受けるための学校で、「日本人学校」と同じ意味合いだ。「ブリティッシュスクール」や「朝鮮学校」も同様。これらは俗に「民族学校」とも呼ばれる。

 比較的安価に英語による教育を受けられることで最近注目されるインド系のインターナショナルスクールもこの仲間だ。

「インディア・インターナショナル・スクール・イン・ジャパン(IISJ)」は日本で最も古いインド系インターナショナルスクールで、東京の江東区と横浜の緑区に校舎がある。年間授業料は60万円。さらに設備費・スクールバス送迎費が20万円かかる。国際バカロレア準拠の教育課程を受けると、年間の授業料は150万円に。そのほか国際バカロレア登録料2万円や高3相当での卒業認定試験料16万円などがかかる。

 一般的な私立小学校の学費よりも、それでも高い。

 玉石混淆の部分はあっても、インターナショナルスクールは、日本の学校教育に疑問をもつ家庭には数少ないオルタナティブ(別の選択肢)である。特に東京インターナショナルスクールのようにユニークで、かつ国際的な「品質保証」を受けている学校なら、高額な学費を払ってでも「わが子を通わせたい」と思う保護者はいる。

 ただ、入学は英語ができることが前提なので、「インター幼稚園」や「プレスクール」と呼ばれるオールイングリッシュの幼稚園に通わせるのが、都心に住む一部の保護者の間で流行っている。かつての「お受験」熱が、幼児期からの「グローバル教育」熱に移行しているのだ。

 あるメディア関係者は、

「かつては子育て中のママを対象に、『お受験』がテーマのセミナーを開くと、大勢集めることができました。しかしこの数年は『グローバル教育』というテーマのセミナーが大人気です」

 と証言する。

 しかし坪谷さんは意外なことを口にする。

「日本に軸足を置いて生きていくことを前提にするのなら、少なくとも義務教育期間中は、インターナショナルスクールに通わせるべきではありません」

(2)へつづく

おおたとしまさ
育児・教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。麻布中高卒、東京外国語大中退、上智大卒。リクルートから独立後、教育誌等のデスクや監修を歴任。中高教員免許を持ち、私立小での教員経験もある。『ルポ塾歴社会』など著書多数。

週刊新潮 2018年7月19日号掲載

特別読物「『インターナショナルスクール』という秘境――おおたとしまさ(育児・教育ジャーナリスト)」より

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