文在寅政権がまた始めた「金賢姫」いじめ 朴槿恵より金正恩を評価する韓国の異常

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爆破犯は全斗煥大統領!?

 時間を一気に飛ばして今年5月9日。中央日報は電子版で「大韓航空機爆破事件、真実は大韓航空・全斗煥政権が知っている」と報じた。内容を列挙する。

◇大韓航空(KAL)858機爆破事件の遺族が事件の真実を明らかにすべきだと要求した

◇KAL858機家族会とKAL858機真相究明対策本部は5月8日午前、ソウル中区の大韓航空西小門洞店の前で記者会見を開き、「1987年の大韓航空機爆破事件の真実を明らかにし、遺族に謝罪すべきだ」と主張した

◇家族会代表は「858機事件で我々は遺品も遺体も何一つ探せなかった。操作された事件だからだ」とし「115人が死亡した事件だが、事故がなぜ起きて飛行機がどこで落ちたかも分からない」と批判した

◇真相究明対策本部の総括チーム長も「31年が過ぎたが、依然として真実は何も明らかになっていない」などとし「この事件のすべての真実を知っている機関は全斗煥政権の安全企画部と外交部、大韓航空だ。安全企画部の主導と大韓航空の協調のもとで事件が作られた。大韓航空は今でも事件の真実を一つ一つ明らかにし、良心宣言しなければいけない」と強調した

 要するに、大韓航空機爆破事件は、当時の全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領(87)が計画・実効した「自作自演テロ」だというわけだ。そして、こうした主張に正面から反論しているのが、金賢姫・元死刑囚なのだ。

 殺人事件の遺族が冤罪を指摘して捜査の見直しを要求するものの、当の犯人と確定した死刑囚は判決の正しさを反論する――刑事事件に当てはめれば、このような構図だろう。非常に珍しいケースであることは間違いない。

金賢姫をバッシングしてきた韓国社会

 日本で行われた報道も、あまり知られていないが、韓国社会は金賢姫をバッシングしてきた。原点は98年、金大中(キム・デジュン/1925〜2009)の大統領就任だ。北朝鮮に対して融和的な政権が誕生したことにより、“テロ国家北朝鮮”の象徴だった金賢姫に厳しい論調の報道が増える。結局、彼女は逃亡、隠遁の生活を余儀なくされる。

 2003年には次期大統領として同じく親北的な盧武鉉(ノ・ムヒョン/1946〜2009)が就任。金賢姫に対する風当たりは更に強くなり、「爆破事件当時の全斗煥大統領と国家安全企画部(現:国家情報院)が仕組んだ謀略ではないか」との新説(珍説?)が流布していく。

 韓国世論も高い関心を示し、なんと盧武鉉政権は事件の再捜査を開始。だが当然ながら「事件は真実」との結論になった。

 それでも遺族会は「事件は韓国政府の自作自演」の主張を曲げない。そうしたこともあり、金賢姫は2008年から合計4回、メディアの取材に応じて反論を行った。

 遺族会は反発を強めてきたのだが、遂に今回、名誉毀損での刑事告訴を行った。ソウル聯合ニュースが7月26日(電子版)に報じた「韓国警察 金賢姫元死刑囚への捜査に着手=遺族の名誉毀損容疑」を引用させていただく。

《金元死刑囚は(略)遺族らを「(北朝鮮に追従する)従北左派、従北勢力」と非難し名誉を毀損した容疑がもたれている。

 また爆破事件の真相究明のため、市民活動家や宗教家などが発足させた対策本部に対して、「親北性向団体、民族の反逆者」などと罵倒し、活動を妨害した疑いもある。

 遺族会と真相究明対策本部は23日にソウル中央地検を訪れ、金元死刑囚を情報通信網法上の名誉毀損と業務妨害の疑いで告訴した。

 警察が捜査に着手したことで、金元死刑囚は被告訴人として捜査を受けることになる》

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