豪雨災害のなか、野党はまた「内閣不信任案」 国会での不毛な議論を終わらせるためにどうすればいいか? 石破茂はこう提言する
支持者とアンチの不毛な対立
「安倍総理しかいない」という支持者も、「あれもこれも悪いことはすべて安倍のせいだ」というアンチも、意見が一致している点がある。それは現在の国会で不毛な議論が多すぎる、ということだ。
ただし、その理由については当然ながら双方の意見は正反対となる。
「野党が無能で、揚げ足取りしかできないからだ」
「政権運営が傲慢だ。豪雨災害すら採決に利用している」
この言い合いが始まると、結局また不毛な議論が……というのが現状だろう。20日、野党は内閣不信任案を提出したが、こうなってくるとどちらが豪雨災害を政治利用しているのかはよくわからないようにも見える。
いずれにしても、野次、無駄な採決引き伸ばしといったいつもの光景が繰り広げられ、本質的な議論は期待できない、ということになる。
今後もこうした不毛な国会が変わる気配はない。この状況を変えるにはどうすべきか。
自民党総裁選出馬が確実視されている石破茂衆議院議員は、新著『政策至上主義』の中で、与野党ともに、建設的な議論のために努力すべきだ、と説いている(以下、同書より抜粋・引用)。
まず石破氏は、与党同様、野党の議員もまた有権者の代表であることは忘れてはならない、と言う。
「その前提に立てば、たとえ筋違いのような指摘であっても政府・与党は謙虚に、誠実に、正直に向き合う必要があるはずです。
国会における野党の質問は、どんなにそれが少数であったとしても、やはり国民有権者の一部の疑問を反映しているものです。そう思って、はぐらかすことなく、真剣に対応する姿勢を示すべきです。これは与党の義務ですし、そうした姿勢を示すことで、野党の質問もまた変わってきます。ですから野党の質問のクオリティは、与党次第だ、と言うべき部分もあるのです」
実際に、自民党が野党だった頃に目指していたのは「責任野党」。出来る限り揚げ足を取ることなく、正面から与党の政策の問題点を衝くことを心がけた、と言う。
「その結果として『民主党政権には政策遂行能力が無い』ということを見ている国民に示す、ということに成功したと思っています」
礼節を守り、論理で攻める
そうした姿勢では追及が甘くならないか、という疑問もわくが、そんなことはないと石破氏は経験をもとに語る。
「ライバルへの礼節を守りながら論理で攻めていくことは十分に可能です」
たとえば石破氏が、野党時代に野田佳彦総理に行なった質問はこんな風に始まる。
「総理、連日、本当に御苦労さまであります。
立場は違いますが、総理という仕事がいかに重圧に耐えねばならないものか、本当に命を削るような仕事であることは、私も何度か閣内にいて総理を近くで見て、よくわかっておるつもりであります。(略)
(野田総理は)民主党の総理であり、私は自由民主党の政策をお預かりする立場です。立場は違いますが、同じ時代を生きる者として、次の時代に何を残すか、日本国のために何をするか、その責任は共有したい、私はそのように思っております。そのような観点で質問いたしますので、どうか的確にお答えをいただきたいと存じます」(2011年9月27日 衆議院予算委員会)
このように一定の敬意を示したうえで、徹底的に政府の姿勢や政策を問い質していった。
「派手さはありませんが、感情的になることなく、一定の敬意を示しながら、論理で詰めていく方が、実りのある議論になりますし、こうした姿勢を国民は冷静に見ています」
だからこそ、野党がいかに「モリカケ」で突っ走り、また「あれもこれも安倍政権のせい」と吹聴しても、支持率はあがらないのだろう。
「最近の野党の一部の方は、パフォーマンスを重視して、感情的に声を荒らげたり、涙ぐんだりすることもあるようです。しかし、政策の内容については鋭い質問はあまり飛んできません。与党が緩んでくるとすれば、それは野党がしっかりしていないということも大きな原因となりうるのです」
[1/2ページ]