マダニ発生で被災地を襲うパンデミック 「西日本豪雨」に2次被害の危惧

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意識障害

 災害ゴミの山には、病原菌を媒介する小動物も集まると、服部氏が話を継ぐ。

「ネズミの尿から菌が排出され、ヒトへ感染するレプトスピラ症にも注意が必要です。被災地でネズミを見たら、水たまりや土が汚染されている可能性が高い。2009年のフィリピン・マニラ大洪水では、89人が高熱や黄疸などを伴い死亡しました。潜伏期間も平均10日と長く、風邪だと思い放置したら重症化します」

 実は、水害前から岡山や広島など中国地方では、マダニの被害が多く報告されていた。普段は野山に多くいるが、水害が運んだ土砂で市街地まで生息域が拡大している恐れもあるのだ。

「マダニに噛まれると、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症します。発熱、頭痛、腹痛、下痢などが起こりますが、意識障害など重篤な症状になる患者もいる。噛まれた自覚がないまま感染していることも多いので、少しでも不調を感じたら診断して貰う必要があります」(同)

 外を出歩く際は、長袖に長ズボンなど肌を露出しないことが先決というが、暑い夏はまだこれからも続く。天はなぜにこうまで無慈悲な試練を、被災地に与えるのか。

週刊新潮 2018年7月26日号掲載

特集「『西日本豪雨』暴虐の爪痕」より

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