オウム「死刑確定囚13人」 4万4400日の獄中記録

国内 社会 週刊新潮 2018年7月19日号掲載

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 オウム死刑囚は、今回執行された7人を含めて計13人。それぞれが死刑確定囚となってからの日数を合わせると、塀の中での暮らしは実に4万4400日にも上る。いつ訪れるかわからない“その日”への恐怖と、いかにして向き合っていたのか。絞首台に立った高弟たちの獄中記録――。

〈愚かな罪人の悲しみにふるえる言葉です。(略)決してアレフが真理であるわけじゃありません。〉

 今年4月、「悲」と題した詩を綴っていたのは、井上嘉浩(48)である。高校2年の時に入信し、教団では、数々の非合法活動を担当。一審の判決では地下鉄サリン事件の「後方支援役」とされたが、二審の高裁になると一転、アジトや車を準備する「総合調整役」と認定され、無期懲役から死刑に。2010年に死刑確定囚となった。

 井上の支援活動をしていた僧侶の平野喜之氏の話。

「支援活動は07年から始まり、井上君の“自分を反面教師にして学んでもらいたい”というメッセージを世の中に知っていただけるよう動いていました」

 井上が獄中で詠んだ詩や手紙などを機関誌に載せていたほか、3月に申し立てた再審請求を支えるなかで、先月25日には結果的に最後となる面会をしている。

「機関誌の今後の編集方針を話すうち、すぐに20分が経ち、刑務官が目配せをしてきました。すると、井上君が“大事なことなので、もう少し話をさせてくれ”と言って、5分ほど延長してもらったのです」

 その大事な話とは、

「機関誌の最新号に、一審判決で無期の判断を下した裁判長が井上君に説諭した際の言葉を載せることになっていました。要するに罪を償うことを思い続けて生きてくださいという内容なのですが、その文章の中で、“被告人が”の部分が“被告人の”になっていたのです。すでに印刷していたし、さほど違和感はない。1文字のために作り直すのを躊躇すると、“僕にとっては大事な言葉だから”と。彼にとっては、人生の支えであり、罪を自覚していたのだと思います」

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