ネズミの好きなビールのタイプは? 「キレ」派ではなく「コク」派だった!

ライフ 食・暮らし 2018年7月5日掲載

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ビールの季節がやってきた

 関東甲信地方では暑い日が続き、気象庁は6月29日、梅雨明けを発表した。6月中の梅雨明けは観測史上初めてのことだという。

 早々に梅雨が明け、降水量も不足というと水不足が心配になる一方で、ビールが美味い季節になったとも言える。

 このビールの美味しさを表現する言葉はいろいろある。「コクがある」「キレがある」等々。

 しかし改めて「コクって何?」と聞かれると、答えに窮するのではないか。

「キレ」は比較的ビールに多用されるが、「コク」のほうは様々な食品で使われる。ビールではなく、ラーメンに感じる人もいるだろう。

「コク」とは何か。

 簡単なようで難しいこの問題について、味覚の研究の第一人者、伏木亨氏は著書『コクと旨味の秘密』の中でこう述べている(以下、引用は同書より)。

「コクのあるという形容詞は褒め言葉で、熟成、豊富な経験、円熟などからもたらされる総合的なレベルの高さと薄っぺらでない魅力のようなものをイメージして使われるようです。時には料理の善し悪しを表現する重要な言葉でありながら、必ずしも具体的な風味を指していない。興味深い言葉です」

「具体的な風味を指していない」というのは、「クリームたっぷりの甘いケーキ」「濃厚なスープ」「モルト100%の濃厚なビール」「甘口の豊潤な清酒」等、あらゆる食品に人は「コク」を感じることを指している。

ネズミもコクが好き

 ここで興味深いのは、コクは人間だけが好むわけではないという点だ。

「これらは実は、どれもネズミの好物でもあるのです。ネズミは人間の感じるコクがわかるようです」

 なぜそんなことが言えるのか。過去にちゃんとした科学実験が行われているからだ。別にネズミの味覚を調べようとしたわけではない。ネズミを肥満させるためにどうするか、研究したところ判明したのである。

 ネズミは普通、必要なカロリーを摂取すると食べるのをやめてしまう習性があるという。たとえ何種類かの餌を目の前に置いて自由に食べさせても、合計カロリーが一定の量に達すると食欲が自然と抑制されるのだ。ダイエットに失敗している人には羨ましい限りである。

 しかしそのネズミを太らせる方法が一つだけある。それは「コク」のあるものを与えることだ。

「実験室の固形飼料の代わりにチーズやハムやソーセージやポテトチップス、甘い砂糖水など、コクがあって人間にとっておいしそうなものをいっぱい並べると、ネズミもつい食べ過ぎて太ってしまうのです」

 そう、結局のところ人間同様、美味しくて中毒性のあるモノ、「コク」のある食べ物の魅力にはネズミも抗しきれないのだ。

 そして、ネズミはビールにおいても「コク」を求めることも判明している。

「ビールはドライよりもコクのある100%モルトタイプ、つまり麦汁とホップだけで造ったビールをネズミは好みます。ドライとモルトタイプのどちらがうまいと感じるか、人間ならば好みはそれぞれでしょう。しかし、ネズミはモルト好きです。本格派といっていいかもしれません。一方、清酒の場合は、癖のない飲みやすい甘口を好んで飲みます」

 これらはいずれも実験で確認されている事実だという。銘柄の異なる2つのビールをネズミに飲ませたりした結果、その本格嗜好が明らかになっているのだ。一般にドライビールは苦味が強く、それを「キレ」と称したりもするのだが、そちらは口に合わないらしい。「酔っ払えればなんでもいいや」という人間よりも、よほど好みにうるさいのである。

デイリー新潮編集部