中国のビールはなぜぬるいのか? 知っておくと得する“中国人”の知られざる生活習慣

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キンキンに冷えたビールが美味い!

 ようやく冬の寒さも抜け、仕事終わりに飲むキンキンに冷えたビールが本格的に美味しい季節の到来を喜んでいるそこのサラリーマン諸君! 中国出張するときは気をつけてくださいね。いつもの調子で「とりあえずビール」なんて注文をしたら最後、ぬる~いビールが出てきてしまいますから――。

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 味覚というのは不思議だ。同じ環境で育った兄弟でも、味覚は異なるケースが多い。でも、ビール好きの日本人ならほとんどの人がこの意見には同意してくれるだろう。“ビールはキンキンに冷えているに限る”ということだ。

 しかしその感覚は決して世界共通のものではない。隣国・中国ですらビールは冷えていないのだ。なぜなのか。『中国人観光客の財布を開く80の方法』の著者・岡部佳子氏によると、中国人はもともと冷たいものを口にしないのだという。(以下同著より抜粋、引用)

■「冷たいものを飲むと死ぬ」

「中国ではもともと『冷たいものを飲むと死ぬ』と言われてきました。冷たいものを飲むと体が冷え、体を冷やすと免疫力が下がり、病気にもかかりやすくなる。中国医学(漢方)でも、身体を冷やすことは健康の敵とされます。ほんのしばらく前まで、中国のレストランではビールを頼んでもぬるいものしか出てきませんでした。『冰的(ビンダ/冷たいの)』というと、かろうじて最初の1~2本は少し冷えていることもありますが、追加注文をすると『没有(メイヨウ/無い)』と言われて終わりです。まず、キンキンに冷えていることはありません。逆に『日本人は、なぜあんなに冷たいビールを飲むのだ?』と不思議がられました。今でもビールを注文する際には、必ず『冰的』と言います。そうしなければ、たいていぬるいのを持ってこられるからです」

 つまり中国人にとってビールは端から“ぬるい”ものなのだ。飲み物だけでなく、料理も冷たいのは基本的にNGであるため、中国の会社には必ずお弁当を温めるための電子レンジが設置されているという。

■寒い中アイスを競い合って食べる

 では中国人はアイスクリームを食べないのか?という疑問が頭をよぎるが、環境の変化に伴い彼らの食生活も変化してきたようだ。

「都市部ではコンビニエンスストアの普及とともに、若者は冷たい飲み物を飲むようになりました。冬場でもちょっと暖かくなると、アイスクリームを食べながら歩いている人を見かけます。見ているこちらが震えるぐらい寒い中でアイスを食べているのを見ると、極端な中国人らしいなあと思うと同時に、我先にと競い合っているようで滑稽でもあります」

“冷たいものを飲むと死ぬ”という思想とはかなり矛盾しているようだが、それもまた中国らしいと言えるのかも。同著ではこれ以外にも、「なぜ中国人は声が大きいのか」「なぜ商品を買う前に箱を開けるのか」など、文化やマナー、生活スタイルを軸に“中国人”の知られざる姿を捉えている。近くて遠い国・中国を知るには、まず彼ら一人一人の行動原理を紐解くことから始めてみると良いのかもしれない。

デイリー新潮

2017年4月20日掲載

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