“中長距離LCC”にいきなり参入 「JAL」を訝しむ声

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成功例は少ない

 また、JALはLCC設立後3年以内に黒字化させるとしているが、航空アナリストの杉浦一機氏は、

「黒字化は、厳しいと思います。LCCは格安チケットで乗客を集めて座席を埋める一方で、限りなくコストカットに努めるのが成功のパターン。とはいえ、それは1日に何度か飛行できる短距離の話で、世界的に見て中長距離での成功例は極めて少ない。JALは、北欧の中長距離LCCが成功した例を引き合いに出しているが、あまりにも経営環境が違いすぎます」

 そもそも5月に発表した時点で、JAL社内からは“なぜ、この時期なのか”と疑問の声が少なからず上がっていたという。JALの元社員もこう訝しむ。

「LCCへの新規参入は、破綻後の目玉事業。それなのに17年〜20年度の中期経営計画に具体的には盛り込まれていないし、6月19日に開催された株主総会でも記者会見以上の説明はまったくありませんでした」

 5月初頭にある役員が外資系通信社の記者に口を滑らせてLCC参入の話をして、すっぱ抜かれた。どうやら、それで細部を詰め切れていない段階で、発表せざるを得なくなったようだ。JAL広報部に聞くと、

「5月14日の発表は、社内外の準備状況等を総合的に勘案し、最速のタイミングだったからです」

 失敗しても、2度目の税金投入は絶対に許されませんぞ。

週刊新潮 2018年6月28日号掲載

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