「人工透析」「人工補助心臓」が停止危機 「大阪地震」大病院の6時間

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 地震によってライフラインが麻痺すると、最も危機に晒されるのは、やはり病院である。

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)では、「人工透析」「人工補助心臓」などが使えなくなるかもしれない窮地に陥っていた。

「地震で、西病棟の屋上にある高架水槽とパイプのつなぎ目がはずれました」

 とは、病院関係者。

「そのため、最上階の10階と9階が水浸しになり、病院は断水。さらに、大混乱の状態のなか、厚労省が“非常用電源も水没した”と誤った発表をした。でも、実は停電中も機能していて、患者が生命を落とすような危険はありませんでした。ただ、いつまで持つかわからないので、人工透析の患者や心臓病の患者ら50人以上を近隣の病院に移した。地震発生から6時間後、自衛隊が駆けつけてくれるまで気が気ではありませんでした」

 7年前の東日本大震災でも、被災地の病院はハードな対応を迫られた。

 福島県いわき市にある常磐病院の新村浩明院長が振り返る。

「停電こそありませんでしたが、断水には本当に困りました。人工透析には1人1回あたり120リットル以上の水が必要です。そのため、500人以上の透析患者を県外の病院に運びました。今度の地震は、大阪という大都市で起こったので、一つの病院がダウンしても近くに大きな病院があるから、我々が経験したような県外大移送をしなくても済んだのでしょう」

 被災地が大都市であったことが救いになったというわけか。

週刊新潮 2018年6月28日号掲載

特集「天災と人災に揺れた『大阪大地震』」より

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