蔑にされてきた「犯罪被害者」たちの戦い 「神戸連続児童殺傷」遺族が指摘する課題

社会 週刊新潮 2018年6月21日号掲載

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「時効撤廃」で再捜査

 加えて、時効の撤廃が事件の真相解明に大きな役割を果たしたケースもある。

 世を震撼させた「闇サイト殺人事件」をご記憶の方も多いだろう。07年、愛知県名古屋市で3人の男たちが、帰宅途中だった31歳の女性を拉致して殺害、遺体遺棄した。彼らはネット上の非合法サイト「闇の職業安定所」で知り合い、女性を拉致し金を奪う謀議を巡らせていたのだ。

 遺族は逮捕された神田司、堀慶末、自首した川岸健治の3人全員の死刑を強く望んだ。1審では神田、堀が死刑、川岸は無期懲役。2審では堀が死刑から無期懲役に減刑となってしまう。

 この判決は12年7月に確定したが、その1カ月後に驚愕の事実が判明する。

 堀は別件でも人を殺めていたのだ。98年、愛知県碧南(へきなん)市で、パチンコ店の店長夫妻が殺害された。この事件現場に残されたDNAが、無期懲役となった堀のそれと酷似していたことが発覚。この事件の殺人容疑で逮捕されたのだ。結局、堀は、1審、2審とも死刑判決が下り上告中の身だが、再捜査のきっかけは時効撤廃の法改正だったという。

「時効の撤廃を受け、県警は未解決事件を扱う特命捜査係を設置したのです。この係が捜査の洗い出しをしなければ、犯行は発覚していなかったかもしれません」

 と振り返るのは、「闇サイト殺人事件」の被害者の母・磯谷富美子さんだ。

「我欲の為に、何の落ち度もない人の命を奪うという一線を越えた人は絶対に反省などしない。娘の事件の犯人たちはそうでした。更生の可能性がない者を、税金で養い再び社会に放てば、被害者を増やすだけ。死刑は遺族の怒りや悲しみ、苦しみをぶつけられる唯一のもので、執行されて娘が戻ってくるわけではないけれど、区切りを付ける為には必要な刑罰です。事件のことは一日も早く忘れてしまいたいのに、服役中は、どんな様子か書類を送って貰えるので、何年もの間、彼等と関わっていかねばなりません。死刑が確定したら半年以内に執行して欲しい」

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