大阪地震で9歳女児の命を奪った「ブロック塀」 必ず崩れると覚悟せよ

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求められる施工者の“厳格化”

 ブロック塀の現状は、日本人が大好きな「ものづくり伝説」の真逆をいく惨状だということになる。これには何が背景にあるのだろうか。

「悪質な施工を正当化するわけではありませんが、個人住宅では土地を買い、家を建てると予算が尽きるということは珍しくありません。家を建てても余裕のある建て主さんは、内装費に回すでしょう。ブロック塀に資金を投入する建て主さんは決して多くはないというのが、偽らざる現状だと思います」(同)

 今回の大阪地震では9歳女児の他に、大阪市東淀川区でも街路のブロック塀が崩れ、下敷きになった80歳の男性が死亡した。

6月18日現在、4人の死亡者のうち2人がブロック塀の倒壊を原因として命を落とした。78年の宮城県沖地震から40年が経つ。何か抜本的な対策が必要なのではないか。

「率直に言って、国が見て見ぬふりをしてきたのは事実だと思います。私はブロック建築技能士の試験問題作成に関わっていますが、技能士の資格がなくとも、ブロック工事の施工は可能です。家を建てるには建築士の資格が、現場監督になるには施工管理技士の資格が必要ですが、ブロック工事も同じように技能士の資格が必要とすべきです。人手不足に悩まされている現場は強く反発するでしょうが、痛ましい事故の再発を許すわけにはいきません」(同・小林氏)

 高槻市の濱田剛史市長は記者会見で「死亡事故が発生したことに対し、深くおわびしたい」と陳謝した。菅官房長官は与党幹部との協議会で、全国の通学路にあるブロック塀を点検するよう指示したことを明らかにしている。2人の尊い命を無駄にしてはならない。

週刊新潮WEB取材班

2018年6月19日掲載

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