文書改ざん 世論を怖れて不起訴を釈明した「女特捜部長」

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「無茶苦茶な判断」

 大阪地検では初の女性特捜部長として、2015年10月に着任した山本部長。別の司法記者によると、

「独身で職務に熱心ですが、仕事を終えれば酒を飲むのが大好き。キムタク主演の検事ドラマ『HERO』のファンであるのは有名ですが、上司に対する忖度もなく、自分を貫くタイプ」

 それだけに記者クラブ内からも、“全員不起訴”の結論に、落胆の声が上がったという。

「ただ、今回の件では大阪地検特捜部にも山本部長にも決定権はありませんでした。すべて東京の最高検が決めていること。あたかも特捜部が判断したような印象ですがね」(同)

 特捜部長も、組織には逆らえなかったということなのだろうが、

「誰も起訴できないなんてありえない。ハッキリ言って、無茶苦茶な判断です」

 とは、元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏だ。

「検察は虚偽公文書作成罪に注目させているが、そもそも虚偽の文書へ改竄したとは言えないため、当初から起訴できないものだった。しかし、作成権限のない人間が書き換えた、重要でない部分の改竄は、公文書変造罪が成立する。その場合、佐川前理財局長が改竄を指示していれば、変造罪の共謀共同正犯で起訴できた。また、改竄文書を国会に提出させ国会業務に支障を来しているので、偽計業務妨害罪でも起訴できる」

 にもかかわらず、全員不起訴となったのは、

「ズルズルと尾を引いていくと、自民党総裁選に影響を及ぼすことになる。それを防ぐための、政治マターの不起訴の臭いがする」(同)

 会見では、憑き物が取れたように清々しい表情だったという山本部長。「ヒーロー」ならぬ「ヒロイン」にはなれなかったが、近々、検事正クラスのポストに栄転すると見られている。

週刊新潮 2018年6月14日号掲載

ワイド特集「五月雨は 露か涙か ほととぎす」より

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