明日は我が身… 「新幹線殺傷事件」を防げない理由

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1日368本

 目下、車内の安全は国鉄民営化後に創設された鉄道警察隊、通称“鉄警隊”が担っている。

「当然、新幹線にも鉄警隊の隊員が乗車して不審者に目を光らせています。とはいえ、東海道新幹線は最短3分間隔で運行し、1日368本、繁忙期には433本が走っている。全便に隊員を配置するのは難しいので1時間に2~3本、ランダムに選んだ新幹線に乗車している。加えて、民間の警備会社にも委託しています」(先の鉄道ジャーナリスト)

 だが、事件のあった「のぞみ265号」には鉄警隊の隊員はおろか、警備会社の警備員も同乗していなかった。JR東海に警備体制を聞くと、

「民間の警備会社にも警備を依頼していますが、防犯上の問題で詳細はお答えできません」

 鉄道業界を担当するアナリストがこう提案する。

「JR東海の18年3月期連結決算を見ると、売上高は前期比3.7%増の1兆8220億円で、純利益は0.7%増の3955億円と、6期連続で過去最高益を更新している。車内警備が難しいのは理解できるが、安全のマイナスを減じて、乗客からの信頼を得られれば結局業績アップに繋がる。やはり、警備員を増員すべきでしょう」

週刊新潮 2018年6月21日号掲載

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