112秒TKO劇に記者も呆然 「井上尚弥」底知れぬ実力

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 それは並居るボクシング記者たちをも呆然とさせた。

 WBA世界バンタム級タイトルマッチが行われ、井上尚弥(25)が王者・マクドネルを1回TKOで破り、3階級制覇を達成した。

“3階級制覇”は、階級が細分化された今日では決して珍しくはないが、

「長年記者をやってますけど、こんな試合は観たことありませんよ」

 とベテランのボクシングライターが興奮気味に語る。

「相手の王者は10年間無敗で決して弱くはない。しかも計量後に体重を12キロも増やしてきて、体格差は歴然。そんな相手を井上は“開始30秒で見切った”として、わずか112秒で倒してしまったのです」

 10・7%をマークしたテレビ中継の瞬間最高視聴率はTKOの後。あまりに早過ぎて多くの視聴者がその瞬間を見逃したようだ。

「最後は13発ものパンチを浴びせたのですが、ほとんどがガードの上だったりしてまともに当たってませんでした。けれども相手は倒れた。まるで重量級のように力でねじ伏せる勝ち方は、軽量級ながら世界的スーパースターに上り詰めたパッキャオを彷彿とさせます。尚弥の桁違いの強さはアマ時代から知っていましたが、ここまで強いとは……」

 そんな井上の次の舞台は、秋から始まる「WBSS」。ボクシングには4つの団体があり、しかも“スーパー王者”やら“暫定王者”やらが乱立している。彼らをトーナメント方式で戦わせ、真の世界一を決める大会だ。

「アメリカでも“本命はイノウエ”。ライバルと言えるのは、19戦無敗のWBAスーパー王者・バーネットと、26戦無敗の前WBC王者・ネリくらい。ネリは3月に山中慎介が敗れた相手。確信犯的な体重超過で無敗を守り、日本を永久追放された札付きです」

 優勝賞金はまだ明らかにされてないが、一説には4億円超とも。次こそKOシーンをお見逃しなく。

週刊新潮 2018年6月7日号掲載

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