せめて先人への敬意は示して… 「ルンバ」「エアウィーブ」がボヤく“後発組”の奇

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ルンバの弱みを強調

 90年に設立された同社は地雷探知ロボット、人命救助ロボットなどを開発してきた。そして、その発展形として生まれたのが、他ならぬロボット掃除機なのだ。地雷がないかを隈無く探知して除去する技術と床を綺麗にすることが繋がるのに、そう複雑な理由も必要なかろう。

 現在発売中の900シリーズは、センサーとカメラがついており、自分の位置を特定する技術が搭載された。自分がどこにいて、どう動けば効率的に掃除できるかを理解しているのだという。吸引力は07年に発売された500シリーズの10倍に。アイロボットジャパン社マーケティング部の山田毅部長は、後発組が続々とこのジャンルに参入してくることに対し、

「他社の参入を非常に歓迎しています。ロボット掃除機は、掃除機市場全体の4%程度しかなく、製造企業が増えることで、ロボット掃除機というカテゴリーが注目されるからです。宣伝広告がメディアに並び、認知度が上がり、市場が活性化するので、我々としてはウェルカムです」

 と語る。とはいえ、状況は意のままに進んできたわけではない。

「他社さんは新たなロボット掃除機を開発するというより、ルンバの弱みを強調してくるのが現状です。たとえば、“ルンバにできない隅も掃除できます”“ルンバよりも小さいです”といった具合に……。そのため、『ロボット掃除機』というカテゴリー自体が広がるのではなく、(『ルンバ』を中心とした)小さなカテゴリーの中でのパイの奪い合いになっている。当然、新しい提案ができないと、市場として広がらないんです。我々が提案できていないことではなく、それ以外の点を追求してほしいと願っています」

 陰口を叩かれている方が主役だという捉え方もあるが、後発で、中国の「美的集団」傘下となった東芝ライフスタイルに聞くと、

「ロボット掃除機は他の企業も出されていると思うんですけど、『ルンバ対東芝』みたいな取り上げ方になるんですか? アイロボット社にウチをどう思うか聞かれたんですか?」

 など根掘り葉掘り確認したうえで結局、取材はNGに。さる週刊誌から好意的に取り上げられなかった過去があるからだと言う。

 その一方で山田部長は、

「15年間、ルンバについて考えてきたノウハウは他社さんには真似できないことだと思っています。世界60カ国ほどで販売し、昨年、世界累計販売台数が2000万台を突破。世界中の床を一番よく知っていることが最大の強みです。床掃除のことについて、どこよりも知見がたまっている。実は日本からの要望が最も細かく、それをフィードバックすることで品質が良くなっているんです。日本のお客様に鍛えて頂いたお陰かなと思っています」

 と結ぶのだった。

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