高円宮久子さまがW杯現地へ 皇族100年ぶりロシア訪問の“大義名分”

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 102年ぶり……というより、「ロシア革命」前年以来、と書いた方が、隔絶の長さを実感できるであろう。

 いよいよ来月に迫った、サッカーのロシアW杯。その激励と観戦のため、高円宮妃久子さまが現地を訪問されることが発表された。皇族が彼の地に向かわれるのは、閑院宮載仁(かんいんのみやことひと)親王による1916年以来だという。

 その翌年からロシアはソビエトとして共産国家となったから、訪問が途絶えたのは頷ける。が、91年の体制崩壊以後も、交流が戻らなかったのはなぜなのか。

「それは両国がまだ平和条約を結んでいないため。つまり、“戦争状態”にあるからに他なりません」

 とは、日露外交に詳しい、ユーラシア21研究所の吹浦忠正理事長である。

「これだけ頻繁に首脳が会談を繰り返す国に、皇族が久しく訪れていないのは異例です。しかし、ロシアどころか、旧ソ連加盟の国々でさえ、2007年に両陛下がバルト三国に行かれるまで訪問はなかった。その時も“まだ早いのでは”との意見があったほどです」

 なるほど、極めて繊細な案件であることがわかる。

 吹浦氏が続ける。

「ただ、W杯は、二国間ではなく、たくさんの国々が集う場です。加えて、久子さまは日本サッカー協会の名誉総裁で、これまで日本が出たすべてのW杯で現地に赴いていますから……」

 ロシアに行かなければ逆に角が立つ。つまり、今回ばかりは、北方領土を不法占拠したままの国にも、皇族が赴く「大義名分」は立っている、というワケだ。

 となれば、逆に言うと、久子さまの“次”の皇族のご訪問はまだまだ先ということになりそうだが、

「雅子さまにはロシアとのご縁があるのです」

 とは、宮内庁関係者。

「父・小和田恒さんが赴任していた関係で、1歳から4歳までをモスクワで過ごされている。ロシアへの思い入れはお強いはず」

「新皇后」のご活躍、なるか。

週刊新潮 2018年5月31日号掲載

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